「18歳で1年間新聞無料」と仏大統領発表。粋なはからいか、言論封じ込めか。(哲




2009ソスN1ソスソス25ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 2512009

 火事跡の貼り紙にある遠い町

                           林 菊枝

語は「火事」。こんなことまで季語になってしまうのかと、いささか驚きました。もちろん火事は一年中起きるもの。ただ、冬は暖房に火を使うことも多く、また、関東地方は特に乾燥していることもあって、火事が冬の季語になっているのは頷けます。火事で思い出すのは、子供のころのこと。ある夜、細い道を挟んで向かい側の家屋が全焼したことがありました。まさに我が家の目の前の三軒が、すさまじい炎を上空に舞い上げていました。空を見上げながらその赤色が、恐ろしくてならなかったことを今でも覚えています。さて、本日の句が目に留まったのは、「遠い町」の1語によります。遠い町の上に広がる空が、句のはるか向こうに見えてきそうです。たいへんな騒ぎだった火事の跡地に、棒杭が立てられ、その上に手書きの紙が貼られています。「ご迷惑をおかけしました。臨時の転居先は下記のようになっています。」とでも書いてあるのでしょうか。見れば転居先は、すぐには場所が頭に浮かんでこないほどの遠い町です。どんな理由によって家を燃やしてしまったのか。この家の住人に責任の一端でもあったのか。理由は定かではありませんが、「遠い町」へ行かなければならなかったということが、近所の人々への申し訳なさのようにも、読み取れます。『新日本大歳時記 冬』(1999・講談社)所載。(松下育男)


January 2412009

 静寂はラグビーボール立ててより

                           松村史基

グビーのゴールポストはH字形で、2本のポールの幅は5.6メートル、高さは国立競技場で13メートル。地面から3メートルの高さにクロスバーが渡してある。地面に置いたボールを蹴ってゴールをねらうゴールキックの場合、ポールの間、クロスバーの上を通過すれば得点。ゴールに上限はなく、要するに2本のポールは、空に向かって伸びる平行な直線なのだ。キッカーはひたすら5.6メートルの隙間をねらい、空へ向かってボールを蹴る。そこにはサッカーのようなディフェンスとのかけひきはなく、自分との勝負。この句には、そんなラグビーのキックの本質がきちっとあり、切り取られている一瞬の静寂が、その前後の激しいプレーや、突き抜けた冬空をも感じさせる。ラグビーの句というと、冬のスポーツとしての激しさやスピード感、男らしさなどを詠んだものが多く、静寂は、というこの句、昨年朝日俳壇で出会って以来心に残っていたが、2008年の朝日俳壇賞受賞。「朝日俳壇」(「朝日新聞」2009年1月12日付)所載。(今井肖子)


January 2312009

 着ぶくれてこの世の瑣事も夕焼す

                           櫻井博道

しくかかわっていることが、ふと瑣事に思えてくることはよくある。人間、糊口をしのがねばならぬのは言わずもがなだけれども、それにかかわらないことにもどれほど意を砕いて日々を送っていることか。「瑣事」ということへの発想は一般的だが、病臥の歳月を重ねた作者が平成三年、六十歳で世を去る前の感慨であることを知ると、「着ぶくれて」に現在只今の「生」の実感が込められ、「夕焼」にこの世への賛歌やエールが贈られているように思う。「こんなつまらないことにかかずらっている」という否定的な自覚ではなくて、「この世の瑣事」に没頭できる時間と存在への肯定である。『季語別櫻井博道全句集』(2009)所収。(今井 聖)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます