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January 1812009

 春を待つ文を遣らねば文は来ず

                           上津原太希子

語は「春を待つ」。春を待ちわびるというのですから、依然、寒い日々をすごしているわけです。出勤の朝、ぬくぬくとした布団の中からいつまでも出られないのは、仕事のつらさのせいなのか、それとも部屋の寒さのせいなのか。どちらにしても片方だけでも早くとりのぞいてもらいたいものです。句の構造は明解です。「春を待つ」の「待つ」から、便りを待つせつない思いに発想をつなげています。作者が便りを待つ相手は、思いを寄せている異性なのでしょうか。ほんとは自分を思ってほしい、その確証が少しでもほしい。それでもやってこない手紙に、さらに思いはつのってゆきます。待っても来ない便りに、仕方なくこちらから思いを届けるしかないという状態のようです。たいていの恋愛には、双方の思いの深さに差があるもので、なかなかその差は埋まらないものです。昨今は手紙よりも、携帯電話のメールが使われるようになりました。こちらは手紙よりもずっと利便性がよく、しかしそのためにさらに思いは深みにはまる危険性があります。メールを送れば相手からの返事をひたすら待つことになり、返事が来たら来たで、すぐにその返事を送りたくなる。苦しみは永遠に続く、というわけです。恋愛に不慣れな方は、携帯メールには特にご注意を。『角川 俳句大歳時記 冬』(2006・角川書店)所載。(松下育男)




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