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November 26112008

 木の葉降り止まず透明人間にも

                           望月昶孝

格的な冬の訪れである。木の葉があっけなく降るがごとくに盛んに散っている。地上に降る。つまり地上に住むわれら人間に降りかかってくる。それどころか、じつは私たちのすぐ傍らにいるかもしれない透明人間にも、降りかかって止まない。透明人間ゆえに、木の葉は何の支障もなく降りかかっているにちがいない。ものみな透けるような時季に、懐かしい響きをもつ透明人間をもち出したところに、この俳句のおもしろさと緊張感が立ちあがってきた。透明人間の存在そのものが、それとなく感じられる冬の訪れの象徴のように思われる。いや、この季節、人々は着ぶくれているけれども、それこそ透け透けの透明人間になってしまっている、と作者はとらえているのかもしれない。葉をなくしてゆく樹木も、次第に透き通ってゆくように感じられる。「木の葉降り止まず」で想起されるのは、加藤楸邨の名句「木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ」である。作者には、おそらく楸邨の句も意識のなかにあったと思われる。両句は「透明人間」と「いそぐないそぐなよ」がそれぞれのポイントになっている。昶孝には「地虫出づ兵馬俑を引き連れて」の句もある。昶孝は詩人で、詩人たちの「ハイハット句会」のメンバー。俳号は暢孝。「長帽子」70号(2008)所載。(八木忠栄)




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