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October 25102008

 天高く高層ビルの檻にゐる

                           伊藤実那

い粒子の、ひとつぶひとつぶが見えるような秋晴れの空。そこに突き出している高層ビルの中に作者はいるのだろうか。天高し、ならそんな気がするが、天高く、といわれると、ビルの外から、ビルを見ているようにも思える。檻は、その存在に気づいた時に檻になる。ビルの中で、浮遊しつつ立ち歩いている人々のほとんどは、檻の中に居るとは思っていないだろう。檻の中に居ることは、不自由といえば不自由、安全といえば安全。閉じ込められていると感じるか、守られていると感じるか、ともかくその外へ出たいか、そこを檻の中と気づくこともないまま過ごしてゆくか。作者自身は、空と自分を隔てる一枚のガラスを突き破って飛びたい、と願っているのかもしれない。この句は、「花いばら」と題された三十句の連作のうちの一句。〈花いばら産んでもらつても困る〉で始まる数々の句からは、自分らしさを自分で打破しながら、高きに登ろうとする志が感じられる。俳誌「河」(2008年七月号)所載。(今井肖子)




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