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August 1782008

 異国語もまじる空港秋暑し

                           後藤軒太郎

港の、高い天井の下にいると、なぜか自分がとるにたりない存在のように感じられてきます。通常は出会えない大きな空間に放り出されて、気後れがしてしまうのかもしれません。先日も見送りのために成田空港に行ってきましたが、家族にかける言葉も、いつもと違って、どこかうわっつらなものになってしまうのです。この句を読んで、あの日に感じたことをまざまざと思い出していました。「異国語」の「異」は、言葉だけではなく、心の中の違和感をも表しているようです。旅立つ人、見送る人、双方が日常の時間から切りはなされて緊張しているのです。耳元では、アジア系の、どこともわからない国の話し言葉が聞えてきます。「いってらっしゃい」と手を振って、一人きりになったあと、帰宅のために空港のバス停に向かいました。空港の建物から突き出ている大きな庇の向うには、依然として真夏の陽射しが強く照りつけていました。まさに本日あたりは、盆休みの行楽から多くの人が帰ってくるのでしょう。混雑する空港で、汗をぬぐいながら母国語にほっとして、暑い日常の日々に少しずつ戻って行くのです。『角川俳句大歳時記 秋』(2006・角川書店)所載。(松下育男)




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