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July 0372008

 札幌の放送局や羽蟻の夜

                           星野立子

幌の放送局に羽蟻がいる。ふと目に留めたただそれだけのことが俳句になる秘密ってどこにあるのだろう。さりげなく何の仕掛けもないこうした俳句を見るたび不思議になる。作者が立子だから、という名前の効果もあるだろうけど、のびやかで風通しの良い句の持ち味はこの作者独自のものだ。むかし羽蟻が出ると家が崩れる、と聞き恐ろしくなった。たかだか蟻のくせに家を傾かすとは。家で見かけるのと同じ小さな羽蟻が遠く離れた札幌にいること、おまけにそこが近代的な機械を完備した冷え冷えとした放送局であるそのミスマッチがなんとも言えずおかしい。普段とは違う場所にいてもささやかな気づきをすらりと俳句に詠める力の抜きかげんはうらやましい限りである。新しいものを柔軟に受け入れる精神をモダンというなら、立子はいきいきと時代の素材を生かした句を作っていたように思う。『季寄せ』(1940・三省堂)所載。(三宅やよい)




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