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June 0362008

 ばかてふ名の花逞しや能登荒磯

                           棚山波朗

キダメギクやジゴクノカマノフタなど、気の毒な名を持つ植物は多いが、作者の故郷能登では浜辺の植物ハマゴウ(浜栲)を「バカノハナ」と呼ぶそうだ。一時期を福井県三国に暮らした三好達治に『馬鹿の花』という詩があり「花の名を馬鹿の花よと/童べの問へばこたへし/紫の花」と始まることから、北陸一帯での呼称のようだ。ハマゴウは浜一面を這うように茂り、可憐な紫色の花を付ける。(「石川の植物」HP→ハマゴウ)花は香り高く、葉や実は生薬となり、また乾燥させた葉をいぶして蚊やりとして使用したりと、生活にもごく密着していたはずの植物が、どうしてこんな名前を持つことになったのだろう。さらに言えば、当地の方言で「ばか」を意味する言葉は「だら」を一般的に用いるということもあり、「ばか」という言葉そのものにもどことなく疎外された語感を伴う。掲句では、作者が哀れな名を持ちながら砂浜を一心に埋める花にけなげなたくましさを感じ、また険しい能登海岸の表情をひととき明るくする花の名が「ばか」であることに一抹の悲しみや、わずかな自嘲も含まれているように思う。命名の由来にはあるいは、灼けた砂の上に、誰も見ていないのに、馬鹿みたいにこんなに咲いて…、といういじらしさが込められているのかもしれない。『宝達』(2008)所収。(土肥あき子)




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