蟄」隱槭′譏・髯ー縺ョ句

April 2642008

 春陰や眠る田螺の一ゆるぎ

                           原 石鼎

陰について調べていた。影、が光の明るさを連想させるのに対して、陰、はなんとなく暗さを思わせるので、抽象的なイメージを抱いていたらそうではなく、花曇り、とほぼ同義で、春特有の曇りがちな天候のことだという。花曇りが桜の頃に限定されるのに対して、春陰はその限りではないが、陰の字のせいか確かに多少主観的な響きがある。日に日に暖かさを増す頃、曇り空に覆われた田んぼの泥の中に、蓋をぴったり閉じて冬を越した田螺がいる。固い殻越しにも土が温んでくるのを感じるのか、じっと冬眠していた田螺は、まだ半分は眠りの中にありながらかすかに動く、なんてこともあるのではないかなあ、と作者自身、春眠覚めやらぬ心地で考えているのか。あるいは、ほろ苦い田螺和えが好物で、自ら田螺取りに行ったのか。いずれにしても、つかみ所なく広々とした曇天と、小さな巻き貝のちょっぴりユーモラスな様子が、それぞれ季語でありながらお互い助け合い、茫洋とした春の一日を切り取って見せている。『花影』(1937)所収。(今井肖子)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます