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February 2322008

 畦焼を終へたる錦糸卵かな

                           松岡ひでたか

焼、野焼。早春、田や畦の枯れ草を焼くことで、害虫駆除の効果があり、その灰が肥料にもなるという。野焼したあとの黒々とした野原を、末黒野(すぐろの)ということは、俳句を始めて、知った。箱根仙石原の芒原の野焼が終わった直後、まさに末黒野を目の当たりにしたことがある。秋には金色の風がうねる芒原が、黒々とその起伏を広げており、ところどころ燃え残った芒を春浅い風が揺らしていた。穏やかな日を選んでも、春の初めの風は強い。田や畦を焼くのは、一日がかりの、地域総出の、相当な緊張を強いられる一大作業だろう。錦糸卵は、多分ちらし寿司の上にのっている。無事に野焼が終えることを願って作られたちらし寿司。錦糸卵の、菜の花畑を思わせるお日さま色の鮮やかさと、口に広がるほのかな甘さが、ついさっきまでの荒々しい炎に包まれた緊張をほぐしてくれる。野焼の炎の激しさを詠むことなく、それを感じさせる、ふんわりとした錦糸卵である。『光』(2000)所収。(今井肖子)




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