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December 23122007

 短日や電車の中を人歩く

                           河合すすむ

つか新聞で読んだのですが、「冬の鬱」という病気があるそうです。眠気がひどく、食欲が増すということで、普通の鬱とは違うのだと書いてありました。日が短くなるのが原因なのだそうです。個人的な事情や悩みからではなく、季節がもたらすこのような病に、しらずしらず私たちは抵抗していたのかと、思ったものです。クリスマス、大晦日、正月と、この時期に賑わしく人々が集おうとするのも、心を明るい方向へ向かわせたいというけなげな願いからきているのかもしれません。さて、本日の句です。季語はまさに「短日」。たしかにこのごろは、私の働くオフィスの大きなガラス窓も、午後も4時半を過ぎれば早々と暗くなり始めます。これほどの日の長さかと、仕事に疲れた顔を窓に向けては、時の過ぎるのを惜しく思います。句の中の人は、電車に乗っていてさえ、かぎりある「時」を大切に使おうとしているようです。電車の中を歩いているのは、到着駅で降りる場所を、少しでも改札の近くへ持って行きたかったからなのでしょうか。あるいは、なにか気にかかることでもあって、移動する車両の中でさえ、いてもたってもいられなかったのでしょうか。どのような理由であれその歩みは、過ぎ去る「時」を追いかけているように、思われます。『観賞歳時記 冬』(1995・角川書店)所載。(松下育男)




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