太田知事出馬断念、高額講演料等に府民反発。支持政党がびびっただけやんか。(哲




2007ソスN12ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 04122007

 やんはりと叱られてゐるおでんかな

                           山本あかね

められるのも苦手だが、叱られるのはもっと苦手。などというと、誰だってそうだ、と突っ込まれそうだが、叱られたあとの空気をどうしたらよいのか、叱られながら考えてしまう。深く反省し、それなりにへこんでもいるのだが、その悲しみを店やその場にいる人に感染させてしまってはいけない、と強く思ってしまうからだ。褒められている場合には、茶化されておしまいか、にこにこ笑って話題が移るのを待っていればよいが、叱られている当事者ではそうはいかない。叱られている現実への困惑、思いあたるふしへの自照、この場の空気を悪くしていることへの恐縮、それらが三つ巴となって頭のなかをぐるぐるとめぐる。考えていることがフキダシとなって表れていたら、それこそ「大体そういうところが大人としておかしいのだ」とあらためて叱られるところだろう。というわけで、掲句にもわずかにどきっと心が騒いだ。しかし、やんわりと諭されて「はい、わかりました」と胸に刻みつつ、「あ、大根おいし」などとつぶやいている。そんな救いのある座を思い描くことができ、ほっと胸をなでおろしたのだった。叱る方も叱られる方もどちらも、それはそれとして上手に受け止め、次の話題へと流れているのだろう。おでんから立つそれぞれの湯気が、ふっくらとその場を包んでいる。〈鮟鱇を下ろして舟の軽くなる〉〈草の花兎が食べてしまひけり〉『大手門』(2007)所収。(土肥あき子)


December 03122007

 賀状書きつゞく鼠の尾のみえて

                           井沢唯夫

の秋に、新俳句人連盟から『新俳句人連盟機関誌「俳句人」の六〇年』をいただいた。全792ページという、掌に重い大冊である。連盟60年の歴史的記述や座談会も貴重で興味深く読んだが、なかで圧巻は「俳句人」の毎号の目次がすべて往時のままに図版で掲載されている部分だ。創刊号(1946年11月)の目次を見ると、日野草城、西東三鬼、石田波郷、橋本多佳子らが作品を寄せている。その後の連盟の歩みからすると、かなり異質な寄稿者たちとも思えるが、敗戦直後の特殊事情が大いに関係していたのだろう。見ていくとしばらくガリバン刷りの時期もあって、先人の労苦がしのばれる。ところで掲句だが、1979年5月号の目次欄に掲載されていた。したがって作句は前年末と推定されるが、ぱっと目に留まったのは、もちろん来年が鼠の年(子年)だからだ。あと半月もすると、多くの人たちがプリントされた「鼠(の尾)」の絵に半ばうんざりしながら賀状書きに励むことになる。何の疑いもなく、私はそのように微笑しつつ読み、しかし念の為にと調べてみたら、1979年は未年であり、作者の書いている賀状に鼠の絵などはあり得ないことがわかった。つまり、作者が詠んだのは本物の鼠(の尾)だったというわけだ。わずか三十年ほど前の話である。鼠がこれほどに人の身近にいたとは、とくに若い人には信じられないだろう。もう少しのところで、私はとんでもない誤読をやらかすところだった。今現在のあれこれだけを物差しに、昔の俳句を読むのは危険なのだ。その見本のような句と言うべきか。(清水哲男)


December 02122007

 床に児の片手袋や終電車

                           小沢昭一

業柄、決算期には仕事を終えるのが夜遅くなり、渋谷駅で東横線の終電車に飛び乗ることも少なくはありません。朝の通勤ラッシュには及ばないまでも、終電車というのはかなりの混みようです。それも仕事帰りの勤め人だけではなく、飲み屋から流れてきた男女も多く、車内はがやがやとうるさく、本を読むこともままなりません。それでもいくつかの大きな乗換駅を過ぎるころには、車内の混雑もそれほどではなくなってきます。それまで、大きな体のサラリーマンの背中に押し付けられていた顔も、普通の位置に戻ることができました。前の席が空いて、ああ極楽極楽と座った目の先に、小さなかわいらしい手袋が落ちています。そういえばあの混雑の中に、子供を抱いた女性がいたなと、思い出します。もうどこかの駅で降りてしまったもののようです。おそらく、子供だけが、手袋が落ちた瞬間に「あっ」と思ったのでしょう。「おかあさん」と知らせるまもなく、母親は人ごみに押されるままに、電車を下りてしまったのです。終電車という熱気のなかの雰囲気、抱かれた子供の、落ちてゆく手袋への視線、子供を抱きかかえて乗り物に乗ることの不自由さ、などなど、さまざまな思いがない交ぜになって、この句は感慨深いものを、わたしに与えてくれます。『新選俳句歳時記』(1999・潮出版社)所載。(松下育男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます