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April 1942007

 呂律まだ整はぬ子にリラ咲ける

                           福永耕二

律(ろれつ)は呂の音と律の音。古くは雅楽の音階を表す言葉であったそうだ。転じて、ものを言うときの言葉の調子を表す。お酒に酔っ払うと呂律が回らなくなるが、「呂律まだ整はぬ」とは、言葉を覚え始めた幼子が靴のことを「くっく」、ブランコのことを「ぶりゃんこ」と舌がよく回らぬなりに伝えようとする様を表している。家にあまりいることのない父親がたまに耳にする片言言葉はさぞ可愛らしく感じられることだろう。ライラックとも呼ばれるリラの花は薄紫色の小花をいっぱいつける可憐な花。「呂律」「リラ」の響き具合が心地よい。リラの花言葉は「若き日の思い出」だとか。甘い香が読み手それぞれの心の中にある幼子との思い出を懐かしくよみがえらせてくれる。幼い子供達、特に女の子はおしゃまになり、口の重い父親などはすぐ言い負かされてしまう。膝にまとわりついて、たどたどしい言葉で親を楽しませてくれた日々はたちまちのうちに過ぎ去る。それが成長というものだろうから子離れの寂しさを感じられる親は幸せなのかもしれない。1980年、42歳の若さで急逝した作者の福永耕二は、この幼子が成人した姿を見届けることはできなかっただろう。『福永耕二句集・踏歌』(1997)所収。(三宅やよい)




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