「ドイツ流の大連立あり得る」と、小泉が小沢に警戒感。この勘は当たるかもしれないな。




2006ソスN4ソスソス14ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

April 1442006

 いもうとのままに老いたり桜餅

                           平沢陽子

語は「桜餅」で春。塩漬けにした桜の葉の芳香が快い。家族のなかに、姉か兄がいる。だから、「いもうと」。だから、家族のなかではいつもいちばん若かった。何かにつけて、そのことを意識させられることも多かった。それが、どうだろう。若い若いと思って生きているうちに、いつしか「老い」の現実が、若い気分の自分に突きつけられることになっていた。老いが誰にも避けられないことはわかっていても、「いもうとのままに」老いたことに、作者はちょっと不思議な感じを受けたのだ。理屈ではなく、なんとなく理不尽な感じがしている。子供のころから姉か兄かと分けあって食べた「桜餅」を、あらためて懐かしいようなものとして眺めているのだろう。当たり前のことを当たり前に詠んだだけの句だが、じんわりと心に沁みてくる句だ。私ごとで言えば、私は長男だからいつも二人の弟たちよりも年上であったわけで、ずっと年長者意識はつづいてきた。だから、弟たちはいつまでも若いと思ってきたのだが、その弟の一人が還暦を迎えたときには、なんとなく理不尽な感じを受けたものである。これまた、理屈ではない。作者とは立場がまったく逆になっているだけで、受けたショックの質は同じようなものだろう。読めば読むほどに、味わい深い良い句です。しんみり。「詩歌句」(第九号・2006年3月)所載。(清水哲男)


April 1342006

 吹かれつつ柳は発と極を吐き

                           志賀 康

語は「柳」で春。「発」は「ほつ」と読ませている。この人の句には意表をつかれることが多いが、この句もその一つだ。柳の意外な表情を見せられた思いがする。「柳」と「風」といえば、常識では「柳に風と受け流し」のように、柳は風に逆らわないことになっている。風の吹くままに枝や葉をなびかせて、抗わないことで身の安全を守るというわけだ。だが掲句では、そんな柳があまりの強風にこらえかねたのか、ついに「発と極を」吐いたというのである。いや、強風とは書いてない。適度な春風かもしれないのだが、いずれにしても柳が吐くという発想は尋常ではないし、それこそ「発」とさせられる。そして、このときに「極」とは何だろうか。よくは掴めないけれど、おそらくは柳という生命体にある芯のようなものではあるまいか。外側から眺めただけではわからない柳の持ついちばん固い部分、人間で言えば性根のようなもの、それを吐いたというのだから、この柳はよほど環境に適応できなかったか、あるいは嫌気がさしていたのか。となれば、この状況は作者の心情を柳に託したとも読めてくる。これ以上の深読みはやめておくが、わかりにくいこの句を読んでよくわかることは、作者がいかに世の常識による物の見方を嫌っているかだ。いわゆる反骨精神の上に築かれたインスピレーションだなあと、私はひとり納得したことであった。俳誌「LOTUS」(第五号・2006年4月)所載。(清水哲男)


April 1242006

 とろけるまで鶏煮つつ八重ざくらかな

                           草間時彦

語は「八重ざくら(八重桜)」で春。サトザクラの八重咲き品種の総称。桜のうちでは咲くのが最も遅く、満開になると枝が見えないほど重く垂れ下がって咲く。この句は、櫂未知子『食の一句』(2005・ふらんす堂)で知った。一年間、毎日「食」にちなんだ句を紹介解説した本で、なかなかに楽しい。「こういう句を読むと、毎日ばたばたして暮らしている自分の情けなさを痛感する」と書いてあって、同感だ。ゆっくりと時間をかけて「鶏(とり)」を煮込む。誰にでもできそうだが、そういうわけにはいかない。料理ばかりではなく、諸事に時間をかけるには日ごろの生活ペースによるのもさることながら、その上に一種の才能が必要だと、私などには思われる。「のろのろ」に才能は不要だが、「ゆっくり」「ゆったり」には、持って生まれた資質が相当に影響するようだ。同じことをほとんど同じ時間でこなしたとしても、「せかせか」と見える人もいれば、逆の人もいる。時間の使い方が上手く見える人は、たいていが後者のタイプである。それはともかく、とろとろとろとろと鶏肉を煮ていると、とろとろとろとろと甘い匂いが漂ってきて、窓外の「八重ざくら」もまたとろとろとろとろと作者を春の底に誘うがごとくである。少年時代に囲炉裏の火で、とろとろとろとろとジャガイモと鯨肉を煮ていたことを思い出した。物事にゆったりする才能はなかったけれど、ヒマだけはあったからである。(清水哲男)




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