蟄」隱槭′逑懃分縺ョ句

July 0772005

 瓜番へ闇を飛び来し礫かな

                           守能断腸花

語は「瓜番(うりばん)」で夏。マクワウリやスイカが熟する時期、夜陰に乗じて盗みに来る者がいた。これを防ぐための番人のことで、小屋の中で番をする。ウリ類が、今よりもずっと貴重だった頃にできた季語だ。瓜番を詠んだ句を調べてみると、おおかたは「まんまろき月のあがりし西瓜番」(富安風生)のように、平穏なものが多いようだ。瓜泥棒はこそ泥だから、誰かが見張っているとなれば、畑に近寄っても来ないからだろう。したがって、掲句のような例は珍しい。いつもは何事もなく過ぎてゆく瓜番小屋に、突然「礫(つぶて)」が「闇」の中から飛んできた。その鋭い勢いで、何か固い物が偶然に小屋に落ちてきたのではないと知れる。明らかに、誰かが小屋をめがけて投げたのである。単なるいたずらか、何かの挑発か、あるいは小屋に人がいるかどうかを探るために投げたのか。さっと緊張感が走った瞬間を言い止めた句で、こういう句は想像では作れない。現場にいた者ならではの臨場感に溢れている。この瓜番も近年ではすっかり姿を消してしまい、死語になった。が、サクランボの名産地で知られる山形などでは、夜間の見回りが欠かせないところもあると新聞で読んだ。世に盗人の種は尽きまじ……。『新歳時記・夏』(1989・河出文庫)所載。(清水哲男)




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