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June 2062004

 恋人とポンポンダリアまでの道

                           坪内稔典

語は「(ポンポン)ダリア」で夏。英語のダリア名「Pompon」から来た名前だと言う。そんなに存在感のあるほうではない花だけど、よく見ると可憐で可愛らしい。しかし句の作者は、実物のポンポンダリアがどんな花かという知識を、さして読者に要求してはいないと思う。知っているにこしたことはない、という程度だ。というのも、句では「ポンポンダリア」の「ポンポン」が、ほとんど擬態語のように使われているからだ。恋人と並んで歩いている気分が「ポンポン」と弾むようなのであって、実物の花の様子は二の次という感じを受ける。だから、歩いてゆく先の道に実際に咲いていなくても構わない。とにかく、楽しくって「ポンポン」、わくわくして「ポンポン」なのである。そしてこの恋人同士は、ほとんど仲良しこよしみたいな関係で、セクシュアルな生臭さというものが一切ない。「ポンポン」が効いているからだ。二人はロウティーンくらいの年齢かとも思えるが、大人の恋人同士でも明るく軽い雰囲気で歩いていれば、やはりそれも「ポンポン」気分と言うべきか。いずれにしても、花の名前を擬態語に転化させて、人の気持ちの形容に使ったところが句のミソであり、楽しさである。この方法を応用すれば、たとえば「ぺんぺん草」だとか「きちきちバッタ」だとか、更には「ハリハリ漬け」なんかも、面白い句になりそうだ。いや、きっともうどこかの誰かが既に試みているに違いない。どんな具合に仕上がったのだろうか、読んでみたいな。『坪内稔典句集』(2003・芸林21世紀文庫)所収。(清水哲男)




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