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March 1732003

 山茱萸の花を電車の高速度

                           糸 大八

山茱萸
語は「山茱萸(さんしゅゆ)の花」で春。別名を「春黄金花(はるこがねばな)」と言い、黄色い小花が球状に集まって咲く。いまごろ、満開のところが多いだろう。作者は、車中の人だ。沿線に山茱萸の群生している場所を知っていて、毎年、開花を心待ちにしている。もう咲くころだと、あらかじめ方角を見定めていたら、果たして咲いていた。いきなり、黄色いかたまりが目に飛び込んできた。が、それも束の間のこと、あっという間に視界から消え去ってしまった。そこで作者は、あらためて「電車の高速度」を感じたというのである。一瞬の出来事を詠むことで、巧みに現代的な季節感を表出している。山茱萸ではないが、東京のJR中央線の東中野駅近辺の土手には、春になるとたくさんの菜の花が咲く。サラリーマン時代には毎春、これが楽しみだった。東京駅方向に乗ると左手に群生していて、数秒間、黄色のかたまりが連なって見える。土手は線路と近接しているため、まさに黄色いかたまりとしか見えない。で、かたまりが見えた後は、なんとなく車内の雰囲気が暖かくなるのだった。桜が咲くと、今度は右側の市ケ谷あたりの土手に目をやることになる。こちらは線路から距離があるので、咲いている様子がよくわかる。それどころか、土手に寝そべっている人たちの姿までもが、よく見えるのだ。最近はめったに電車には乗らないけれど、こういう句を読むと、衝動的に乗ってみたくなる。「俳句研究」(2002年6月号)所載。山茱萸の写真は、群馬大学社会情報学部・青木繁伸氏撮影。(清水哲男)




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