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July 1472002

 巴里祭モデルと画家の夫婦老い

                           中村伸郎

語は「巴里祭(パリ祭)」で夏。読みは「パリーさい」。七月十四日、フランスの革命(1789)記念日である。ルネ・クレールの映画『七月十四日』が、日本では『巴里祭』と訳され紹介されたことに由来する命名だ。したがって、日本でのこの日は、血なまぐさい革命からは遠く離れた甘美な雰囲気の日として受容されてきた。そして、パリは20世紀の半ば過ぎまで、日本の芸術家にとって憧れの都であり、とりわけて画家たちの意識のうちには「聖都」の感すらあったであろう。美術史的な意義は省略するけれど、実際にパリに渡った青年画家たちの数は数えきれないほどだったし、掲句のようなカップルが誕生することも自然のことだったと思われる。とはいえ、句のカップルがフランス女性と日本男性を指しているのかどうかはわからない。日本人同士かもしれないが、しかし、二人の結びつきの背景には、こうしたパリへの憧れや情熱を抜きにしては語れないことからの季語「巴里祭」なのだ。その二人が、かくも老いてきた。そして、他ならぬ自分もまた……。作者は、たぶん文学座の役者で小津映画にもよく出ていた「中村伸郎」だろう。そう思って読むと、句の物語性はかなり舞台的演劇的である。『新版・俳句歳時記』(2001・雄山閣出版)所載。(清水哲男)




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