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March 0632002

 官女雛納め癖なるころび癖

                           岡田史乃

語は「雛納め」で春。飾りつけた日から奇数にあたる日を選ぶというが、そこまで神経を働かせる人がいるのかどうか。蕎麦をそなえ、食べてから納めるとも、ものの本には書いてある。例年のように納めながら、作者ははたと気がついた。どうもこの「官女」は不安定でころびやすいと思っていたら、長年の納め方に無理があって、妙な癖がついてしまっていたのだ。といって、納め癖を強引に直して納めようとするると、今度はどこかがねじ曲がったりするかもしれない。最悪の場合には、身体が損傷してしまうかもしれない。おそらく作者はそう考えて、納め癖のついたままに、いつものように箱に収めたのだろう。情景としては、それだけの話だ。が、句はそれだけの話に終わらせてくれない。作者自身に「ころび癖」があるかどうかは知らないが、もしかすると、あるのかもしれない。だとすれば、ここで作者は苦笑しているはずだ。同様に、掲句は読者に対しても自分ならではの癖について、ちょっと関心を引っ張ってくるようなところがある。悪癖というのではなく、たとえばよく何でもないところでつまずいたり、あちこちに肘や膝をぶつけたりと、不注意からというよりも癖としか言いようのない習性について、読者が苦笑するところまで引っ張ってくる。少なくとも、私は引っ張られてしまった。『浮いてこい』(1983)所収。(清水哲男)




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