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February 2522002

 春星へ電光ニュースのぼりゆく

                           浦川聡子

の星は、やわらかい夜気に潤んだように見える。対するに、「電光ニュース」の光る文字はくっきりと鮮やかだ。それが上へ上へとのぼってゆき、次から次へと消えていってしまう。断ち消えると言うべきか。一方、上空の星はといえば、ぼおっとしているけれど、いつまでもしずかに灯っている。この対比への着目が面白い。と同時に、句の上へ上へとのぼってゆく意識は、ものみな上昇志向を帯びてくる春という季節にぴったりだと思った。春は、万物が上を向く季節なのである。そういえば、坂本九の歌に「上を向いて歩こう」があった。春の歌だ。この歌のように、ものみな上を向く季節であるがゆえに、逆に精神的には下を向くことにもなったりするのである。ひとり取り残されたような孤独感に襲われたりする。昔から春愁などと言い、人間はまことに複雑怪奇な生き物だ。したがって、句の情緒的な受け取りようは、さまざまに別れるだろう。ところで、電光ニュースの一文字は、200個ほどの白熱灯(20-30ワット)で表示されている。パソコンで言えば、素朴なドット文字や絵のそれと同じだ。最近のウエブデザイナーの世界では、このドット表示が見直されているらしい。光りを組みあわせて文字や絵を表示しようというとき、方法的にはともかく、原理的には誰もが思いつく方法だ。が、原点には原点にしかないパワーがあり情熱があり、しかるがゆえの魅力があるということ。『クロイツェル・ソナタ』(1995)所収。(清水哲男)


April 0542008

 囀や真白き葉書来てゐたる

                           浦川聡子

聞やダイレクトメール、事務連絡の茶封筒などに混ざって、葉書が一枚。白く光沢のある絵はがきの裏、宛名の文字は見慣れた友人のもので、旅先からの便りだろうか。白は、すべての波長の光線を反射することによって見える色というが、人間が色彩を感知するメカニズムについて、今さらのように不思議に思うことがある。数学をやりながら、数式や定理がさまざまな色合いをもって頭の中に浮かぶ、と言う知人がいた。どんな感覚なのか、残念ながら、私は色のついた数式を思い浮かべることはできない。どちらかといえば視覚人間、コンサートに行くより絵画展へ、句作の時もまず色彩へ視線がいくのだけれど。この句の作者は、音楽に造詣が深く、音楽にかかわる秀句が多いことでも知られており、視覚と聴覚がバランスよく句に働いている。メールが通信手段の主流となりつつある中、春風に運ばれてきたような気さえするその葉書に反射する光と、きらきらと降ってくる囀に包まれて、作者の中に新しいメロディーが生まれているのかもしれない。『水の宅急便』(2002)所収。(今井肖子)




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