今夜は娘のはじめてのピアノ・リサイタル。一家で一週間前から舞い上がり状態。




1997ソスN11ソスソス23ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 23111997

 アルミ貨ほど身軽し勤労感謝の日

                           香西照雄

体の調子がよいときなど、我ながら身軽だなと感じるときがある。痩せていようが肥っていようが、関係はない。身軽と感じるとき、人は一瞬自分の体格や体重を意識するのである。この場合は、アルミ貨ほどに感じたというのだから、ほとんど体重感覚はゼロに近い。身軽さが頼りなさにつながっている。こんな身体でよくも今日まで働いてこられたな……という感慨。と同時に、アルミ貨に「薄給」を匂わせている……という技術。祝日名が長いので、この日についてはなかなかよい作品が見当たらない。というよりも、作品の絶対量が不足しているというべきか。(清水哲男)


November 22111997

 しぐるゝや駅に西口東口

                           安住 敦

の出口で待ち合わせた。そんなに大きくはない駅だから、すぐにわかるだろうという計算だった。ところが、駅に着いてみると出口が二つあって、どちらに出て待てばよいのかがわからない。こういうことは、よく起きる。いまどきの高架線の駅であれば、東口から西口を往復するのは割に簡単だが、昔風の駅ではそうもいかない。いったんどちらかの改札口を出てしまうと、反対側の出口にはなかなか行けない。入場券を買ってもう一度ホームに戻るか、あるいは近くの踏切を見つけて大回りするかしか方法がない。おりから時雨れてきたホームでの、ちょっぴり不安な思案の図……。さて、それではここはいったいどこの駅かということになるのだが、調べ魔の友人が、東京の「田園調布駅」だと突き止めてくれた。(清水哲男)


November 21111997

 ベッド組み立てて十一月の雨

                           皆吉 司

集のあとがきを読むと、新居を構えて間もないころの作品だ。作者の家が放火で焼かれ、一年間ほどの仮住まいの後の新居である。注文しておいたベッドが届いたのは、あいにくの雨の日だ。それでも細目に窓を開けて、組み立てていく。ベッドの枠や脚のパイプも冷たいが、外の雨も冷たい。ようやく組み立て終ってみると、ベッドはにわかに暖かい雰囲気になる。雨はあいかわらず冷たそうに降っているけれど、部屋のなかにいる作者は逆に暖かい心持ちになっている。ささやかな仕事を終えた充実感に満たされている。このとき、作者は二十代前半。雨とベッドの対比も若々しい。『ヴェニスの靴』(1985)所収。(清水哲男)




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