1997ソスN7ソスソス5ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 0571997

 バナナ持ち洗濯機の中のぞきこむ

                           しらいししずみ

者は二十代前半の女性。若い女性の日常の一こまを、さらっとスケッチしていて好もしい。それにしても、食べながら洗濯できるとは、盥(たらい)世代の末裔である私などにしてみれば、つくづく便利になったものだと思う。家事を課せられた者のプレッシャーが、どれほど減殺されたことか。生まれたときに既に洗濯機があった世代にはわかるまいが、この恩恵による時間の余剰には計り知れないものがある。説教くさくなりかけた。「サザンオールスターズ」の曲に俳句を感じるという作者の感受性に、今後を期待しよう。『21世紀俳句ガイダンス』所載。(清水哲男)


July 0471997

 娘と通ふ料理教室鮎を焼く

                           佐藤恵美子

の技巧もない、そのまんまの句。でも、とても字面がよい。日本語の美しさを感じさせられる。同時に、女性の「そのまんま」が、いかに男のそれと遠い世界にあるかということも……。たいがいの母娘が仲がよいのは、このように具体的現実的な行動において、素直に協調できるからなのだろう。そこへいくと、男はいけない。親子関係にも、一理屈かませないと安心できない性分がある。下手に焼かれた鮎のように、本質的にはうじうじと生臭いのである。『あぶら菜』所収。(清水哲男)


July 0371997

 子に土産なく手花火の路地を過ぐ

                           大串 章

い父親の苦い心。父となった者には、だれしもが経験のあるところだろう。ぴしゃりとその核心をとらえている。なべて名産品などというものには大人向きが多いから、小さな子への土産選びは難しい。いろいろ考えているうちに、今回はパスということになったりする。が、そうした場合、我が家が近くなってくると、たいてい後悔する。どんなにちゃちな土産でも、買ってくればよかった……。近所の子供たちが花火で楽しそうに遊んでいるというのに、我が子は家にいてひたすら父の帰りを待ちかねているのだ。などと、うしろめたさは募るばかり。さあ、言い訳をどうしたらよいものか。『朝の舟』所収。(清水哲男)




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