1996ソスN9ソスソス13ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

September 1391996

 秋は女寺から行方不明らし

                           永田耕衣

は女で、寺から行方不明になったのか。または、秋は女寺から行方不明になったのか。何とも不可解な人を食ったようないいまわしは、この作者独特の世界だ。作者は昨年(1995)の神戸大地震で罹災して話題となった俳壇の最長老。(井川博年)


September 1291996

 大空の雲はちぎれて秋祭

                           前田普羅

月のこの国は、お祭りでいっぱい。毎日、日本のどこかで祭がある。なんの変哲もない句であるが、まっすぐに秋祭の気分をとらえていて、心に残る。敗戦直後の句であり、しかも富山在住の普羅が空襲で一切を失ったことを知る者にとっては、悲しいくらいに美しい詩心が感じられよう。以後、普羅は漂白の人となる。妻無く(昭和18年に死別)、子無し。といっても、映画「寅さん」の呑気な放浪とは違うのである。門人を頼っての苦しい「旅」の連続であったという。『雪山』(ふらんす堂文庫)所収。(清水哲男)


September 1191996

 裏窓の裸醜し又美し

                           瀧 春一

のような句を読むと、季節に関わらず(もう秋だ)力を込めて紹介したくなる。路地裏の長屋の窓から見える老人の裸。パンツ一枚の姿のなんと醜く美しくあることか。ここに人の世の営みがあるのである。作者は秋桜子門。『花石榴』で蛇笏賞受賞。(井川博年)




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