1996ソスN8ソスソス7ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 0781996

 藷畑にただ秋風と潮騒と

                           山本健吉

芸評論家・山本健吉の数少ない俳句作品の一つ。「ただ秋風と潮騒と」と言ってはいるが、古典に詳しい健吉のことであるから、秋風と共に芭蕉を思い、潮騒と共に人麻呂を思っていたかも知れぬ。但し、この句は石山での作でも、石見での作でもなく、島原の乱で有名な原城址での作。長崎県出身の健吉にとって、島原の乱はことのほか興味深かったようだ。(大串章)


August 0681996

 原爆の日の洗面に顔浸けて

                           平畑静塔

島への原爆投下は、午前八時十五分だった。そのことを知る作者は、しばし洗面の水から顔をあげられない。やり場のない哀しみと、そして自分が今こうして生きてある不思議とを、瞑目しつつ思うのである。この作者の姿と気持ちは、そのままで黙祷する人々のそれと通い合っている。(清水哲男)


August 0581996

 木の根に晝寝餓ゑに酔ひたる如かりき

                           中村草田男

戦直後、昭和21年の作品。前書きに「ある人の打語れる話、自ら句になりて」とある。みんなが餓えていた時代。空腹もはるかに通り越すと、たしかに酔ったような心持ちになる。このまま、とろとろとあの世へ行ってしまっても構うものかという気分……。(清水哲男)




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