1996ソスN7ソスソス13ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1371996

 氷片を見つめ見つめて失いぬ

                           池田澄子

と人との付き合い方は難しい。ふとウィスキーグラスの中の氷片を見つめてしまった。カリリンという涼しげな音立てていた固体。形あるものもいつしか消えてしまう。でも、まあいいか。こんな句を作る女性ともう一杯。(八木幹夫)


July 1271996

 かき氷くづしどうでもよかりけり

                           奥坂まや

性でなければ、まずは絶対に書けない句。で、このかき氷をどうしたか。作者はきっと、たいらげてしまったはずである。すねているのか、かなり怒っているのか、そのへんの事情はわからない。けれども、男の場合は「くづし」たりもしない。手なんかつけないのだ。奥坂さんは神田神保町の生まれだそうだが、こういうときには、私だったらそれこそ神田の「ランチョン」あたりで、ひとりビールを飲むだろう。(清水哲男)


July 1171996

 公事たくむ人の見ている雲の峰

                           作者不詳

事(くじ)は訴訟。先年、はからずも名誉毀損で訴えられ、霞が関の東京地裁へ私は何度か通った。判決は棄却でさいわい勝ったが、なにせテキはその道の猛者で、法廷でやりあったその日、たまたま都心の空に猛々しいほどの入道雲を見た、ような気がする。とはいえこの句は二百年余り前の江戸の人の作です。油断も隙もならぬ憂き世を、描いて浮世絵というがごとき句、なのですなぁ。『武玉川』第十四篇所収。(小沢信男)




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