駒場寮「廃寮」の不当性解説集

駒場寮「廃寮」の不当性解説集



製作: 駒場寮委員会文化部シリーズビラ担当
発行日: 1997年6月22日
発行: 駒場寮委員会
〒153 目黒区駒場3-8-1 東大駒場寮
TEL 03-3467-3009


はじめに


 この解説集は、1997年5月20日(火)から6月23日(月)発行予定までの、駒場寮委員会の作成した『駒場寮「廃寮」の不当性を暴く!』と題された一連の学内向けシリーズビラを基に、6月22日(日)の公開シンポジウムに向けて加筆・修正されたものです。
 駒場寮問題に初めて接する方にとっては不親切な点もあるかと思いますが、「廃寮」の不当性についての駒場寮委員会の見解がほぼ網羅されていますので、気長に読んでみて下さい。
 今、学部当局は、裁判による駒場寮問題の決着に足を踏み入れようとしています。我々は裁判に反対し、あくまで誠実な対話による解決を訴えており、この解説集の基となったシリーズビラも対話による解決のための下準備的な性格を持つものでした。我々が対話による解決を求める理由もこの解説集を読めばお分かり頂けると思います。
 なお、「法的措置」については『駒場寮問題「法的措置」関連報告集」を発行しています。また、上記シリーズビラと並行して作成された『駒場寮の意義』と題するシリーズビラを基にした
『駒場寮の意義☆解説集』もあります。併せてご覧下さい。

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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって


 皆さんは、何の相談もなく自分のアパートが突然取り壊されることになったらどうしますか。自分のサークルが部室から突然追い出されることになったらどうしますか。仕方ないからといって出ていく人もいるかも知れません。しかし同時に、仕方ないでは済まないといって残り続ける人もいます。何の相談もないということは、逆に「出て行くべき」人に選択の自由を与えるのです。言い換えれば抵抗の自由を与えるのです。そうでなければ、「出て行くべき」烙印を押された人の自由意志はどこにあるのでしょうか。
 「出て行け」と叫ぶ人々の言うことは決まっています、より多くの人のために、と。しかし、「より多くの人のために」一部の人の自由意志が全く認められないことが果たしてよいことなのでしょうか。それは単純に頭数を天秤にかければよいというものではありません。まして「より多くの人」でさえ、実はいつでも「出て行くべき」人となり得るような場合に於いては、つまり「出て行くべき」人が実のとろこ何者かに造られる状況にあっては、なおさらです。
 ある意志決定に於いて、当事者の自由意志が全く認められず現在に至っている問題、それが駒場寮「廃寮」問題に他なりません。この資料集では、駒場寮「廃寮」が何故、単なる“計画”ではなく“問題”に発展したのか、その「廃寮」決定の内在的不当性を明らかにしていきます。

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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで



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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

学生不在の「三鷹」構想


 東京大学教養学部は90年3月、「国際学生寄宿舎」の概算要求を行い、翌91年3月に再度「三鷹国際学生宿舎」として概算要求を行いました。これが現三鷹宿舎の予算的背景です。これらの概算要求は、その存在すら寮生・学生に知らされていませんでした。このこと自体、学生の利用する宿舎であるにも関わらず、当の学生は蚊帳の外であることを示していますが、実は別の理由があったからなのです。概算要求の背景には、大蔵省関東財務局による旧三鷹寮敷地の不効率利用国有地の指定がありました。へこの指定を受けると土地が国に没収される可能性が高まります。そこで何らかの「有効利用」が迫られるのですが、教養学部は手っ取り早く旧三鷹寮の増築を考えた訳です。しかし、政府文部省の学寮敵視政策から、そう簡単に増築出来ない。そこで駒場寮を廃寮にしてしまえという安易かつ無茶な条件を付けたのです。要するに、有効利用など建前、東大の土地は一坪たりとも手放したくない、という東大のエゴが、しわ寄せを駒場寮に押し付けたのが駒場寮「廃寮」計画の直接的な切っ掛けです。

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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

当事者不在の「廃寮」決定


 遅くとも91年3月に再度「三鷹国際学生宿舎」の概算要求をした時点で、駒場寮「廃寮」計画は東大から政府文部省に示されていました。ところが学部当局はこの事実を寮生・学生に知らせないばかりでなく、意図的に隠蔽してきたのです。91年7月の学部交渉の席上、「(寮の立て替え(ママ)は)具体的計画に至っていない」としてあたかも「廃寮」計画自体存在しないかのような発言をしてい:ます。ところが実際には「立て替え」どころか「立て替え」にかこつけた駒場寮の「廃寮」計画が秘密裏に進められていたのです。後に学部当局は91年夏に予算化の可能性が高まったことを明らかにしています。その時点でも時間はいくらでもあったにも関わらず、寮生側には何らの相談もありませんでした。そして秋休み中の10月9日、臨時教授会を開いて文字通り電撃的に駒場寮「廃寮」を決定してしまったのです。こうして駒場寮「廃寮」計画は、それに最大の影響を受ける当事者である寮生・学生との合意はおろか、何らの事前相談もないまま、一方的に「決定」されました。こうして、「廃寮」の有無を言わせぬ押し付けが始まったのです。

88年     旧三鷹寮敷地不効率利用国有地の指定
90年 3月   国際学生宿舎の灘11要求頭出し
91年 3月   三鷹国際学生宿舎概算要求頭出し
91年 7月   学部交渉「(立て替えは)具体的計画には至っていない」
91年 8月   三鷹国際学生宿舎予算化の可能性急浮上
91年10月 9日 臨時教授会で駒場寮「廃寮」決定
91年10月12日 駒場寮委員長・学生自治会委員長の公開質問状
91年10月15日 東京大学評議会で駒場寮「廃寮」承認
91年10月17日 学部文書「21世紀の学生宿舎を目指して」配布
91年11月12日 学生自治会代議員大会で駒場寮廃寮反対決議
91年11月   駒場寮総代会で駒場寮廃寮廃寮決議
91年11月14日 学部交渉(28日にも)

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誠意ない学部当局の態度


 91年10月9日の臨時教授会で駒場寮「廃寮」が突然一方的に決定されました。しかし、この決定を学生側に伝えたのは5日後、文書の形態で全学に知らせたのは1週間以上も経ってからでした。特に、駒場寮生にとっては寮が潰されるという最大級の問題であるにも関わらず、学部当局は通知すらサボっていたのです。
 遅れた日数は些細な問題です。より問題なのは、当事者不在で決定した上に、さらにそれを伝えようとしなかったその誠意のかけらもない態度です。臨時教授会の不当決定の噂を聞き付けた当時の駒場寮委員長・学生自治会委員長が決定の有無について公開質問状を出します(10月12日)。このような学生側からの追及によって、やっと学部当局が決定の存在を認めたのです。このように「廃寮」決定前後の学部当局は二つの不当行為を行っています。一つは決定に際し、事前に合意形成を図ろうとせずに計画を隠蔽し続けたこと、もう一つは決定後も当事者の存在を無視して決定の伝達すら怠ったことです。学部当局のこのような態度の背景には、学生自治無視或いは学生軽視の発想があるのです。学部当局は 「強い反対があれば計画を中止する」と言ったのに反対がなかったから計画を進めた、と主張しますが、たとえ反対があろうとも強行突破するハラでいたことは、以上のような経緯から明らかです。

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当事者不在の決定とは何か?


 その構成員が、対等に意志決定に与かることが出来ないような社会は不平等な社会です。今のところ、不平等を無前提に肯定する人はいません。そこで彼らは「根拠ある」不平等にすり替えます。その「根拠」は彼らが恣意的に生み出し、「常識」として押し付けてきます。「外人だから」「中卒だから」「女だから」等等。だからこそ我々一人一人がその「常識」とされる判断基準を厳しく検証せねばなりません。
 駒場寮「廃寮」問題ついても同じことが言えます。このような当事者不在の決定が、それでもまかり通ると学部当局の強弁する「根拠」、それは教官と学生との違いです。つまり大学という社会に於いて学生が意志決定に参画することなど出来ないのだから、寮生・学生抜きの「廃寮」決定も全く問題ないのだ、と。勿論我々は、教官と学生という立場の違いが全く存在しないと主張するのではありません。例えば教授会に学生も自由参加させろ、といった荒唐無稽の要求をするつもりはありません。しかし、こと駒場寮に関する決定をする時に、当事者である寮生・学生の意見を抹殺する、その理由とはなり得ません。
 駒場寮「廃寮」計画の決定についての不当性は、一般的に当事者不在の決定が不当であるということ、さらに学生全体に向けられた攻撃であるということなのです。我々は、当事者不在という決定の在り方はいかなる場合に於いても許容されてはならないと考えます。そのような在り方が今、自分たちの構成する社会、この駒場キャンパスでまかり通ろうとしているのを止めない訳にはいきません。また、その当事者は我々学生なのです。学生の権利は、これまでの学生自治の積み重ねの上に存在しています。将来の学生の権利は、我々の自治活動の積み重ねの上に存在することになるのです。ここでこのような不当性を黙認してしまったら、我々は自ら学生自治を掘り崩していくことになるのです。我々が駒場寮「廃寮」は学生自治の問題であると主張する理由の一つはここにあります。
 これまでの学生自治の積み重ねが具現化したものの一つに、「東大確認書」があります。この「東大確認書」を参照しながら、明文化されたルールにも違反しているのが、駒場寮「廃寮」決定であることを明らかにしたいと思います。

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「東大確認書」10の2項


 1969年2月、東大当局と学生側の代表団との間に取り交わされたのが「東大確認書」です。ここでは「東大確認書」の賛否には触れず、東大当局もこのような「破認書」を認めて合意したのだという事実を前提に考えてみましょう。
 「東大確認書」10の2項では、「学生・院生・職員もそれぞれ固有の権利を持って・・」ということが謳われています。「東大確認書」以前の大学当局は、大学の自治の主体は教授会であるという立場でしたが、ここで、学生や職員も大学自治の主体であるという意志表明をしたのです。「固有」の権利の内容には触れられていませんが、この「固有」とは憲法に書かれた「固有」の意味付けと同様、「不可侵」ということです(この解釈は、当時「確認書」交渉に携わり、現在弁護士をしておられる方から直接聞いたものです)。当時から駒場寮は寮生によって自主管理されていましたが、これも学生としての「固有」の権利ということが出来ます。
 従って、駒場寮「廃寮」決定について言えば、最大の影響を受ける寮生・学生が駒場寮を福利厚生施設として使う「不可侵」の権利と衝突する訳ですから、当然、「廃寮」のための合意形成が不可欠であったのです(「廃寮」宣言から1年経った今から考えれば、「廃寮」強行のために膨大な労力を割くことを強いられている事務職員の意見も全く無視したところで決定された「廃寮」には微塵の正当性もないと断言出来るでしょう)。にも関わらず、学部当局は計画を隠蔽して秘密裏に決定するという、まるで正反対の行動をとったのです。そして学部当局はいまだに、学生と相談して決めることは必要条件ではないなどと開き直っている始末です。
 当事者不在の決定が正当性を有する筈がありませんが、束大に於いては、大学当局自らが認めた「東大確認書」にすら違反しているという点でも、見逃す訳にはいきません。



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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

駒場寮の原則「84合意書」


 学生という大学自治を担う一主体に対して秘密裏に決定されたことの不当性は、大学当局自身が締結した「東大確認書」を見れば、学部当局ですら当然認めなければならないものです。今回は、駒場寮にまつわる狭義の当事者である寮生を無視したことについても明文化された原則を踏み躙る暴挙であったことを明らかにしたいと思います。
 駒場寮では、寮生自身による管理運営、自主管理が行われてきました。入退寮選考権から寮財政管理権に至るまで、寮生により構成される自治機構である『駒場寮自治会』が掌握しており、学部当局もまたこれを認めてきました。これらの日常的活動を基礎に、寮自治の尊重と、寮生活に関わる公的な意志表明の際に寮生の意見を聞いて反映させること等を明文化したのが84年の“確認事項”(通称「84合意書」、以下同じ)です。

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はじめに | 駒場寮「廃寮」の不当性を考えるに当たって | 第一部 「廃寮」計画浮上から計画強行宣言まで | 学生不在の「三鷹」構想 | 当事者不在の「廃寮」決定 | 誠意ない学部当局の態度 | 当事者不在の決定とは何か? | 「東大確認書」10の2項 | 駒場寮の原則「84合意書」 | 負担区分闘争の末に | 「84合意書」第三項に違反 | 支離滅裂な学部当局の見解 | 反対を押し切って計画強行宣言 | ここまでの問題点 | 第二部 「廃寮」反対運動の攻防 | 不当なリンクを外せ! | 署名集めからストライキヘ | 「入寮募集停止」通達とストライキ | 「廃寮」告示から全学投票へ | 第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃 | 本性を露呈させた実力行使 | 説得隊の大動員事態 | 駒場寮「殺し」激化 | 電気・ガスストップ | 電気・ガスストップから分かること | 「法的措置」への突入 | 「占有移転禁止」仮処分 | 「明渡し」仮処分へ | 「法的措置」の問題 | 暴挙を上塗りした強制執行 | ガードマン費用はどこから? | 駒場寮問題の本質的解決に向けて|

負担区分闘争の末に


 この「84合意書」は、84年に負担区分闘争を終結させるに当たって駒場寮自治会と当時の第8委員会(学部の学寮担当の常設委員会、現学生委員会)との間で取り交わされたものです。ここでは負担区分闘争についての説明が若干必要でしょう。当時、駒場寮は経済的困窮者の厚生施設であるという立場から、水光熱費を一切負担していませんでした。これに対して会計検査院が負担区分(生活に関わる部分の水光熱費は寮生自身に払わせるための分担)を「守っていない」と指摘し(これは政府が勝手に押し付けたに規則に過ぎず、それまでと同じ支払い方法をとっていたのだから「守っていない」のは当然だった)、これをロ実に「受益者負担主義」を振りかざした負担区分導入攻撃が全国の学寮に対して開始されました。駒場寮については、寮生に相談せずに東大学長が負担区分導入を一方的に決定して文部省に約束してしまい、これに寮生が反対すると学部当局は「廃寮」の恫喝をかけながら決定を駒場寮自治会に押し付けてきたのです。
 寮費が跳ね上がること、そして何より「受益者負担主義」が貫かれていること等が問題となって寮内を二分三分する大論争になりました。しかし結局、「廃寮」を回避するため、設備改善と引き換えに学部当局の決定に応じることになったのです。負担区分導入が大問題になった理由の一つは、大学当局が寮自治を無視して勝手にその在り方を決定してしまったことにあります。今後そのような問題が起こらないようにするために「合意書」及び付随する“確認事項”が結ばれました。以上が、負担区分闘争と「84合意書」の経緯です。
 こうして寮自治の尊重を再確認することが明文化されました。しかし、それから僅か7年後、手のひらを返したように学部当局は「合意書」に全面的に違反する「廃寮」の抜き打ち決定に及んだのです。学部当局の態度は、寮自治尊重の精神を、単なる紙屑として捨てようとするものでした。

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「84合意書」第三項に違反


 当事者である寮生・学生に秘密裏に進められた「廃寮」構想と臨時教授会での抜き打ち決定、当事者不在の決定という在り方の不当性は誰の目にも明らかですが、これは「合意書」の第三項にも違反するものです。より詳細に考察してみましょう。
 まず、「廃寮」計画が『寮生活に重大なかかわりを持つ問題』であることについては、学部当局も認めています。最大の問題は『事前に』という言葉の指す意味です。これについては、特に「84合意書」の妥結の背景についてもう一度考える必要があります。
 前述の通り、「84合意書」は負担区分闘争の末に結ばれました。負担区分闘争の発端は、東大学長が当事者である寮生との相談をしないまま文部省との間で寮に関する約束をしてしまったことです。学部当局は当時、文部省との約束を盾に負担区分導入は避けられないと言うばかりか、導入しないなら廃寮すると脅す始末でした。問題が学外に出てしまったら、なかなか変えられないめだ、という訳です。『事前に』の意味するところはこれで明らかだと思います。それは、学外に問題を持ち出す前に、もっと具体的に言えば概算要求などの形で計画を学外に公開する前に、という意味に他なりません。
 駒場寮「廃寮」計画は、遅くとも91年3月時点で概算要求の形で本郷の事務局に、その後に文部省に示されています。同年7月の学部交渉では「具体的計画には至っていない」として「廃寮」計画自体存在しないかのような発言をする一方、夏には関係省庁・関係部局との間での折衝が寮生への相談抜きに繰り返されたのです。
 また、教授会で決定する前であれば、確かに技術的には「廃寮」計画の撤回もあり得たと言えます。そこで、寮生の意見を反映させ得るうちに、と甘く解釈すれば、『事前に』とは教授会決定前にということになります。しかし、それも意図的に隠蔽し続けてきました。このことは、「廃寮」まずありき、という学部当局の態度を明確に反映しています。

           確 認 事 項

水光熱費の負担区分および寮施設改善に関する駒場寄宿寮自治会と第八委
員会との公開交渉(団体交渉)における合意成立にあたって、以下の各項
を確認する。

1,第八委員会は従来からの大学自治の原則を今後も基本方針として堅持
  し、駒場寮における寮自治の慣行を尊重する。

2,合意書の第一項に関する議論のなかで、寮委員会側は、水光熱費の負
  担区分はいわゆる2.18通達を前提とすべきではないと主張し、第八委
  員会側は、それが駒場寮独自の方式にもとづくものであることを強調
  した。

3,寮生活に重大なかかわりを持つ問題について大学の公的な意思表明が
  あるとき、第八委員会は、寮生の意見を充分に把握・検討して、事前
  に大学の諸機関に反映させるよう努力する。

4,大学がその財政上自主的に裁量できる部分はきわめて限定されている
  のが実状であるが、大学の自主性がいっそう尊重されることが望まし
  い。

5,第八委員会は、新入寮生募集停止の措置を望むものではない。

                1984年 5月24日

             教養学部第八委員会
                委員長  菊地昌典[印]

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支離滅裂な学部当局の見解


 それでも学部当局は「84合意書」に違反していないと主張します。一体どのような見解を持っているのか、見てみましょう。

・『公的な意志表明」は学生向け文書

 学部当局が『公的な意志表明』として挙げているのは、91年10月9日の臨時教授会決定以降の寮委員長・自治会委員長への回答や各種学生向け文書のみであり、教授会としての「廃寮」決定や、概算要求などは含まれていません(95年4月の教授向け「廃寮」学習会資料より)。従って『公的な意志表明』をしながら学生の意見も聞いてきた、という訳です。93年11月の「廃寮決定公示」まで何度も交渉をしたのだから、「合意書」第三項の定める義務以上に慎重な行為をとったとしています。
 しかしこれは、教授会での「廃寮」決定の重みを覆い隠す脆弁であり、「廃寮」決定自体に学生の意見を反映させたくないことの現れに他なりません。寮生・学生は、「廃寮」後の跡地計画に意見を出したのではなく、まさに「廃寮」決定自体に対して反対してきたのです。事実、今に至るも学部当局は「廃寮」強行の一点を変えようとはしていません。

・『意見を充分に把握・検討』は特別委員会の裁量

 上と同じ資料の中で学部当局は、意見の把握・検討の具体的な手続きが規定されていないので、意見の把握・検討については三鷹特別委員会の裁量に委ねる、としており、またそれは十分実施してきたと述べています。確かに、交渉の回数は重ねられましたが、寮生の一貫した意見である「廃寮」反対は常に踏み潰されてきたのです。「合意書」締結主体は、学部当局だけでなく、寮自治会も主体なのです。一方の主体の意見が全く反映されていないのに「意見の把握・検討は十分実施」ということがあり得るでしょうか。

・決定前は意見聴取出来ない!?

 三鷹特別委員の小寺教官によれば、教授会決定前には意見聴取の対象たる「廃寮」計画が存在しないので、聴取は不可能であるとのことです。検討対象は決定と同時に存在し始めたという観念論を弄している訳ですが、それでは何故、決定前に文部省などの関係省庁と折衝出来て寮生の意見聴取は出来ないのか全く理解し兼ねます。

・「合意書」は「努力目標」だ!?

 三鷹特別委員の生井沢教官によれば、「合意書」には「・・努力する」と書いてあるから、努力さえすればよく、努力したのだと言います。しかし何を努力したのかということには答えられません。意見の把握・検討のために努力しなかったどころか、「廃寮」決定前に計画を隠蔽し、寮生・学生の反対意見を封じ込めるために努力したのが学部当局に他なりません。

91年12月 6日  学部当局、アンケート開始
92年 1月13日  学部文書「三鷹国際学生宿舎建設について」配布
        (→駒場寮「廃寮」強行宣言)

 以上の通り、学部当局が「84合意書」に違反したことはもはや明白です。学部当局は誠実な話し合いによる建設的な解決のために、「84合意書」違反を認める他ないと言わざるを得ません。

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反対を押し切って計画強行宣言


 駒場寮「廃寮」決定後の最初の学生側の意志表明は、91年11月の駒場寮総代会決議、続いて学生自治会代議員大会決議でした。駒場寮総代会では「駒場寮廃寮を前提としないこと」を、また代議員大会では「抱き合わせ廃寮に反対」「学内議論のため三鷹計画の一年凍結」を可決したのです。いづれも当事者との議論抜きでなし崩し的に「三鷹計画」の条件として駒場寮を「廃寮」とすることに反対する点で一致しています。
 学部当局は当時、「学生の強い反対があれば予算要求中止も考慮する」としていましたが、はじめからそのつもりはありませんでした。それは、同年11月に2回にわたって行われた学部交渉で「強い反対は見られないので予算要求は止められない」として計画強行を打ち出してきたことからも明らかです。駒場寮総代会、学生自治会代議員大会はそれぞれ寮生・学生の最高議決機関です。そのような場で反対決議が上がっているにも関わらず「強い反対がない」というのは、学部当局の恣意的な解駅以外の何物でもありません。
 寮生・学生側から正式に「廃寮」反対が意志表明されると、学部当局は何とか学生の支持を取り付けて「廃寮」ずるという形を作ってごまかそうとして、12月から「無作為抽出アンケート」を開始しました。その結果、7割が「三鷹」推進に賛成したとして、翌年1月、学部当局は「もはやこれ以上遅延することは許され」ないとして、計画の強行を宣言します。「廃寮」計画の公表から僅か3ヵ月、充分な議論の余裕はありませんでした。

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ここまでの問題点


 「廃寮」計画公表から計画強行宣言までの経緯を見ましたが、学生側の要求がことごとく拒否されているのが分かります。このことは、前述した学部当局の「84合意書」の歪曲した解釈にすら悖るものです。学部当局は「公的な意志表明」とは「廃寮」決定後の学生向け公示文書等のことであり、「廃寮」決定後は充分に意見の把握・検討をした(裏を返せば、決定以前に学生の意見を聞く必要はない)と述べています。仮にそのような解釈に沿うとしても、充分に意見の把握・検討がなされたとは決して言えません。寮生・学生の「廃寮」反対の意見を無視した挙げ句、臨時教授会決定から僅か3ヵ月後に計画強行を宣言したからです。彼らの解釈に沿っても、「84合意書」違反は隠しようのない事実です。この時期の学部当局の行動の問題点について、以下の四点に絞って考えてみましょう。

・「強い反対はないと解釈する」

 学部当局は「強い反対はない」として学生の意志表明を否定しました。しかし、これは最高議決機関で決議を上げるという正式な手続きを経た正式の意志表明です。学生側は決して無理難題を要求したのではありません。それに対してきちんと回答することが出来ないからこそ、学部当局は「強い反対」などの恣意的な修飾語でごまかしたのです。これではどんな要求でも学部当局の都合によって恣意的にその可否が判断されてしまいます。学生側の決議に対するこのような学部当局の態度は、学生自治にとって非常に危険です。

・アンケートの恣意的な内容

 「三鷹宿舎」建設の是非を問うアンケートの質問項目には、駒場寮「廃寮」の是非について一切触れられていません。駒場寮「廃寮」という条件は、千人規模、個室制などの他の条件とは全く異なるものであることは明白ですが、特にアンケート開始時は、学生側の「廃寮」反対決議が上がっていた訳ですから、この点に触れない訳にはいかない筈です。学部当局は、駒場寮「廃寮」には敢えて触れなかったのではなく、反対を恐れて触れられなかったのです。また、誘導尋問的な質問の進め方も批判対象となっています。

・「無作為摘出」は適切か?

 91年12月に学部当局が始めたアンケートは、統計学的公平さを装うために「無作為抽出」で行われました。しかしこれが駒場寮「廃寮」問題の場合に適切か否かは検討せねばなりません。そもそも駒場寮の「廃寮」計画である以上、まず当事者である寮生の意見を尊重すべきです。「無作為抽出」の意見が寮生の意見に優先するということはあり得ません。しかし実際には、寮生の意見は総代会決議であろうとも無視されてしまいました。
 さらに寮生の間では、仕送り0円の者が20%以上に上っていましたが(93年)、東大生の家庭の平均年収は当時から1000万円を越えており、母集団の差異は歴然としていました。母集団をすり替える必要性があったのでしょうか。これは「無作為抽出」が初めから学内的に少数の寮生を囲い込む意図で行われたものであることを裏付けています。

・アンケートは決議に優先するか?

 寮生・学生側の正式の意志表明の場として駒場寮総代会や代議員大会があります。勿論アンケートでも意見聴取は出来ますが、これはあくまで参考意見でしかありません。まして、その参考意見が正式の意志表明に優先する筈がありません。アンケートに至る経緯からも明らかですが、学部当局は学生の意見が「廃寮」反対の決議だけでは都合がよくないので、別の意見を求めていたのです。それは、より充分な意見把握を目指したのではなく、あくまで彼らの都合に合わせたアリバイ作りでしかなかったことは、アンケートを口実とした計画強行宣言を見れば一目瞭然です。参考意見を正式の意志表明に優先する行為は学生の自主的活動である学生自治の破壊に他なりません。当事者不在の「廃寮」計画を強行しようとすればする程、学部当局は学生自治攻撃の本質を現さざるを得なかったのです。

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第二部 「廃寮」反対運動の攻防



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不当なリンクを外せ!


 寮生・学生側の各種最高議決機関決議にも関わらず、「廃寮」強行の姿勢を堅持する学部当局は92年10月、駒場寮「廃寮」を前提としたままで「三鷹宿舎」第I期工事を着工します。「三鷹」計画が始動するという状況の中で、駒場寮の将来が一方的に「三鷹宿舎」への統廃合であると決め付けられたことの問題性が浮き彫りにならざるを得ませんでした。「三鷹宿舎」への統廃合を当事者抜きで決定してよいのか、そもそも「三鷹宿舎」への統廃合は駒場寮「廃寮」の埋め合わせになり得るのか。このような議論の申から、駒場寮と「三鷹宿舎」の不当なリンク撤廃要求が広範な支持を得ていきました。
 93年1月の駒場寮総代会では、この議論に沿って3項目要求が決議されました。
  1. 三鷹国際学生宿舎建設は推進するが、自治を認めさせていこう。
  2. 駒場寮廃寮との不当なリンクをはずすこと。
  3. 駒場寮の重要性と廃寮反対を学内外にアピールしよう。
 反対を押し切って駒場寮を潰してでも三鷹に駒場寮定員を移せという意見は存在せず、3項目要求は駒場寮を犠牲にするようなやり方をするなという極めて単純な意見でした。
 2月に行われた三鷹特別委員会との交渉で、学部当局側(永野委員長、当時)は、世論の高まりによっては、駒場寮を残して三鷹計画を中止するという発言をしました。しかしこれが本音ではなかったことは、その後の学部当局の行動が明らかにしています。

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署名集めからストライキヘ


 2月交渉の永野委員長発言を受けて、寮自治会は「廃寮」反対の署名集めを開始します。7月までに2500筆を集めて学部当局に提出しましたが、学部当局は「三鷹宿舎」第II期工事着工をもってこれに応えました。寮側は、学部当局への働き掛けを強めるため、学生ストライキを計画します。これは11月に学生自治会代議員大会と全学批准投票を経て正式に行われました。学生側は「廃寮」反対の意志をストライキという形で学部当局に突き付けたのです。さらに同年秋の駒場寮祭(駒場祭と同時期)では、東大OGで駒場寮内の部室を利用していた加藤登紀子さんが駒場寮存続を考えるコンサート(参加者延4000人)を行い、駒場寮問題が広く学内外に知られる切っ掛けとなりました。

93年 1月22日  駒場寮総代会で3項目要求決議
93年 2月24日  特別委員会交渉「学内世論が高まれば三鷹中止、駒場寮残る」
93年 7月27日  駒場寮存続を求める署名提出(2500筆)
93年11月19日  廃寮反対ストライキ
93年11月23日  「駒場寮存続を考える」加藤登紀子コンサート

 このような運動の高まりに押された学部当局は、94年5月の交渉で「学生が一方的廃寮に一貫して反対している」ことを認め、「ストライキなどで示された学生の意思は受け止める」と表明しましたが、それでも「三鷹計画全体の方が重い」として計画強行姿勢を取り続けたのです。本来、駒場寮「廃寮」や「三鷹」計画は学生に関わる問題であるにも関わらず、ストライキに示された学生の意見が切り捨てられる。このことをどう解釈すればよいのでしょうか。駒場寮「廃寮」や「三鷹」計画が、そもそも学生の自主性を念頭に置いたものではなく、学部当局の都合からのみ生まれた計画であることを示しています。


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「入寮募集停止」通達とストライキ


 94年夏以降に、学部当局が「入寮募集停止」を通達してくる可能性が決定的となると、寮生・学生はこれに反対する運動を開始しました。10月駒場寮総代会は「入寮募集停止」通達如何に関わらず、95年以降の入寮募集を継続することを確認しましたが、これも学部当局は無視、11月に「入寮募集停止」通達を強行したのです。この通達の撤回を求めて、再度ストライキが提起され、12月にストライキが行われました。1月には初の全国集会が行われましたが、学部当局は「入寮募集停止」通達を撤回せず、95年度から学部当局の認めない入寮募集継続に突入していくことになったのです。

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「廃寮」告示から全学投票へ


 95年10月、学部当局は96年度以降の駒場寮「廃寮」を告示しようとしました。しかし、寮生・学生の強い抗議の前に、学部長は「廃寮」告示文を読み上げることすら出来ずに逃亡、事態収拾のため学部長団交が持たれることとなったのです(この騒ぎに紛れて原理研メンバーが学生の腕時計を引きちぎる等の暴行を働いた)。
 学生側は再度、廃寮「反対」の意志表明をするため、12月に全学批准投票を行いました。その結果、「寮存続または新学内寮の建設」が7割以上の賛成を得て批准されました。この結果はマスコミでも報道されましたが、学部当局は「廃寮」強行の姿勢を改めず、96年4月1日、駒場寮「廃寮」を宣言、対立は何ら解消されないまま、学部当局のなりふり構わぬ「廃寮」攻撃が熾烈化していくことになったのです。
 93年〜「廃寮」以前の経緯を駆け足で概観しましたが、学生関連の問題であるにも関わらず、当の寮生・学生の意見を踏み潰しながら学部当局が一貫して「廃寮」強行に邁進してきたことが分かります。「廃寮」問題は、「廃寮」を容認してこのような学部当局の不当性を不問に付してよいのかという問いを学生一人一人に投げかけているのです。

94年12月 2日  「入寮募集停止」通達撤回を求めるストライキ
95年 1月17日  「入寮募集停止」通達粉砕!全国集会
95年12月 7日  全学投票で「寮存続または学内寮建設」批准

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第三部 「廃寮」宣言から実力廃寮化攻撃



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本性を露呈させた実力行使


 これまでお伝えした通り、駒場寮の「廃寮」計画について、学内合意は一切ありませんでした。合意形成がなされなかったばかりでなく、合意形成に向けた努力すらなされず、当事者である寮生・学生の反対をあくまで押し切ることに最大の努力が払われてきたのです。そして96年4月、学部当局は「廃寮」を宣言しますが、いくら言葉の上で「廃寮」を強調しても駒場寮は「生きて」いましたし、「生きる」意志を強く持っていました。その意志は、名実共に駒場寮を「殺そう」とする学部当局の暴力によって逆に一層強化されたのです。学部当局は、駒場寮を確かに「殺そう」としていました。そしてそれを実行するために手段を選びませんでした。それが可能である背景には、学部当局の権力があることを我々は見逃しませんでした。当事者がノーと言っていることを無理やり強制することを可能にする実力行使の権限、これは暴力と呼ぶ他ありません。「廃寮」問題の根底には、権力の問題が厳然と横たわっているのです。駒場寮存続運動が即ち権力の横暴との闘いであるこど、さらにそれとの闘い抜きに駒場寮が「生きる」ことは不可能であることを目に見える形で寮生・学生に突き付けたのが、学部当局の一連の実力行使でした。そしてこれこそが「廃寮」計画の不当性、さらには学部当局の本性を暴き出すものだったのです。今回から、駒場寮に対して行われた不当な実力攻撃について見ていきたいと思います。

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説得隊の大動員事態


 96年4月2日、大量の教職員が突如駒場寮に押し寄せてきました。学部当局は駒場寮に「不法に居座る」学生たちに退寮を促すための説得活動と説明していましたが、説得とは名ばかりの恫喝・スパイ部隊として機能したのがこの説得隊です。
 当初は「寮自治会執行部が頑ななので、寮生個々人と自由に会話して事情を聞き、廃寮を納得してもらうためのもの」(学部当局関係者談)とされていました。「普段はなかなか話せない寮生と会話する貴重なチャンスだった」などの意見もありましたが、状況を的確に捉えた見解とは言えません。説得隊は、寮生との親睦のためにやって来たのではなく、あくまで恫喝・スパイ部隊として位置付けられていたので、それらの「有意義な」会話すら「廃寮」強行作戦の情報収集に利用されただけでした。
 個々の寮生の事情を聞けば聞く程「廃寮」は困難であること、まして押し付けの「廃寮」を納得させるなど不可能であることが分かるや、説得隊は強引な追い出し作戦を開始しました。空き部屋と認めるや否や、施錠したり木材をクギ付けして封鎖する、寮内の窓ガラスを叩き割る(下井教官)、勝手に人の部屋の写真を撮る等の実力行使を行いました。寝ている間にドアが封鎖されて部屋に閉じ込められた寮生もいました。彼らは、およそ大学の教職員がすべき行為から掛け離れた蛮行をほしいままにしたのです。このような信じ難い事態がこの駒場キャンパスで約5ヵ月も続きました。「廃寮」が遅々として進まなかったのは、寮生が頑固だからとか、わがままだったからといった理由からではなく、「廃寮」計画自体の不当性に由来するものでした。だから不当な「廃寮」計画を強行しようとすればする程、学部当局は本性を露にしつつ文字通り暴力的にならざるを得ませんでした。
 この説得隊が攻撃した対象は、寮生・学生にとどまりませんでした。学部執行部の暴走によって多くの教官が被害を受けたのです。教官は教え子を痛め付けるための公務員なのではなく、教育・研究をする公務員です。説得隊としてなだれ込んできた彼らが、逆に寮生にたしなめられて無言のまま帰るといった光景が数多く見られました。無給のまま研究時間を割いて狩り出されてくる様は、さながら戦前の国家総動員態勢でした。
 しかし説得隊作戦で最大の被害を蒙ったのは事務職員でした。「廃寮」決定は教授会が行ったものです。従って学生同様、彼らも「廃寮」決定に関与していませんから、その決定に対する責任を負う立場にはありません。しかし学部当局の立場で働かざるを得ない事務職員は、まさに学部当局の手足として「廃寮」強行に狩り出されたのです。説得隊は建前上“ボランティア”だったので完全無給でした。超過勤務に対しても手当は―切なく、建前上“ボランティア”なのでケガをしても労災認定は受けられません。事務職員は、学部当局言いなりの便利屋ではなく、事務をする公務員です。事務に対してのみ責任を負うべき事務機構が、学部当局の権力によって一夜にして「廃寮」強行装置と化すという恐るべき事態が生じたのです。これは現在まで改善されていません。もはやファシズムと形容すべき事態と言えます。「廃寮」はこのような問題をも学生一人一人に投げ掛けています。

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駒場寮「殺し」激化


 学部当局は駒場寮「廃寮」計画を秘密裏に決定し、寮生・学生の反対を押し切って「廃寮」を宣言しました。合意形成の努力など一切払われなかったのです。我々は、このような不当な態度に出る学部当局に敢熱と立ち向かい、駒場寮は「廃寮」後も「生きて」いました。「廃寮」を強行するためには、「生きて」いる駒場寮の息の根を文字通り止めねばなりません。説得隊導入の初日の深夜、さらに2日後の未明と寮生を焼き殺そうとする放火事件が寮内で続発し、駒場寮を巡る緊張が高まる申で、学部当局が説得隊工作に続いて執った作戦は、ライフライン遮断でした。96年4月8日午前10時過ぎ、駒場寮の電気・ガスは突然ストップしたのです。全て学部当局によって綿密に仕組まれた作戦でした。

96年 4月 1日  学部当局、「廃寮」宣言
96年 4月 2日  説得隊初導入
96年 4月 8日  電気・ガス供給停止(+オトリ説得隊)
96年 4月 8日  寮裏渡り廊下破壊(+オトリ説得隊)
96年 4月11日  説得隊、施錠封鎖
96年 4月24日  寮裏渡り廊下破壊策動ゆ阻止
96年 5月 1日  説得隊、ピンクで暴行
96年 6月 3日  寮所有の電気ドラム数十個を窃盗(+オトリ説得隊)
96年 6月 7日  説得隊員下井教官(化学)、窓ガラス破壊

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電気・ガスストップ


 96年4月8日午前10時、いつものように説得隊が駒場寮に押し寄せてきました。説得隊は不当だから寮内侵入を止めるようにと寮生らが説得していると、突然寮内の電気が消えました。「何がどうなっているのか分からなかった」(寮生談)状況の中で、今度は寮の裏手でパワーシャベルが渡り廊下を破壊し始めました。ここに至り、説得隊が単なるオトリ作戦で、本命は電気・ガスのストップと渡り廊下破壊であることが分かったのです。説得隊に動員された教職員は数グループに組織され、オトリ作戦が効果的に実行出来るように寮内外各所に配置されていました。中には自分が電気・ガスストップのオトリであることすら知らされていない人もいたのです。
 皆さんは電気・ガスがない現代生活を想像出来るでしょうか。勉強するにもパソコンを使うにも、食糧を冷蔵するにも、洗濯するにも、電気のない生活は到底考えられません。我々の現代生活は電気を前提に成り立っています。残念ながら、駒場寮にはランプもカマドもありません。電気・ガスのストップは最大級の生活破壌でした。このような非人道的な生活破壊を学部当局は「廃寮」強行の手段として用いたのです。これは民法の「自力救済」禁止原則にも反する重大な違法行為に他なりません。
 駒場寮を「殺す」ためには手段を選ばない。電気・ガスのストップは、抜き打ち的に、しかも計画的に行われた違法行為であり、問題の本質的解決に逆行するものでした。

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電気・ガスストップから分かること


 電気・ガスのストップは、学部当局の非人道的なひどさを明白に示していますが、その背景には読み取らねばならない重大なことがあります。学生は異議を唱えるべき立場ではない、換言すれば大学構成員たり得ない、という根底にある学部当局の発想がそれです。
 ご存じの通り、寮生・学生は一貫して駒場寮「廃寮」に反対しており、それは交渉の中で学部当局も認めていることです。口先では「廃寮」反対の意見を認めながら、他方では「廃寮」計画を唯一絶対化しているのが学部当局に他なりません。「廃寮」に反対している寮生は、勝手に寮に住み着いたのではありません。寮自治・学生自治を根拠として従来通りの正当な手続きによって駒場寮を使用しているに過ぎません。そのような寮生に対して、実際に電気・ガスをストップし、生活破壊をしてまで計画強行をしようとする。では、寮自治や学生自治は彼らにとって一体何なのでしょうか。
 結論から言えば、学部当局はそれらの「自治」を彼らの下請け事務としか考えていないのです。「東大確認書」の学生の「固有の権利」など、彼らは何とも思っていません。学生はあくまで学部当局に従うべき存在であり、計画に変更や撤回を求めることなどしてはならない存在なのです。その枠内であれば、適当に「自治」をやらせる訳です。枠の範囲は彼らが恣意的に判断します。『学生の皆さんへ97(2)』の中に、「固有の立場」という言葉が使われているのが、何よりの証拠ではありませんか。学生としての枠、「固有の立場」を踏み越えて反対を唱える時、仮にその反対が学生側の正式の手続きに拠った正当な内容のものであったとしても、その学生に対する無制限の弾圧が正当化されるのです。

 電気・ガスのストップに際して、学部当局の根底にあるこのような発想が自己暴露する結果となりました。不当な「廃寮」を強行するには隠し切れなかったのです。
学生は大学社会に属しています。その社会で、電気・ガスストップに象徴されるような事態が起きています。この事態をどう考えるのか、放置してよいのか、それが一人一人に問われています。そのような問いに答えることこそが所属する社会への責任の果たし方ではないでしょうか。ロを閉ざして白紙委任することからはファシズムしか生まれません。それは必ず学生に撥ね返ってきます。全ての学生が結束して学部当局の「廃寮」攻撃に反対するところから始めねばならないのも、そのためです。

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「法的措置」への突入


 何ら正当性のない「廃寮」計画を実力攻撃を以て強行しようとすればするほど、学部当局の暴力性が露呈するのみで、その不当性は覆うべくもありませんでした。全学投票に示されたように、学生側は誠実な話し合いによる解決を要求していましたが、彼らがそれに応じることは出来ませんでした。誠実な交渉は取りも直さず、日一日とその度を深める「廃寮」攻撃の不当性を認めることを学部当局に強いるものだったからです。
 強行突破する以外に方策のなくなった学部当局は、96年6月教授会で『「法的措置」の学部長への一任』を「決定」してしまいます。学生自治を拠り所として正当な主張をする学生を訴えるという、前代未聞の決定がなされたのです。

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「占有移転禁止」仮処分


 「暴力学生による不法占拠」「管理不能の危険」などの虚偽に塗り固められた申し立てに基づいて昨年9月、東京地裁は秘密裏に「占有移転禁止」仮処分決定を下しました。9月10日に抜き打ち執行された「占有移転禁止」仮処分とは、民事明け渡し訴訟の前段階の「法的措置」です。一言で言えば追出し対象者の法的特定を行うものです。追出し対象者とされた寮生は、執行当日になって初めて自分が対象者であることを知ったのです。
 一度でも寮に立ち入ったことのある人ならば誰でも分かるようなウソをもとに、一度も寮の実態を見たことのない裁判所の人間が、追出し前段階の決定を出したのです。対話を無意味化してしまう「法的措置」の本質が、警察力導入と何ら変わらないことは、昨年東大新聞が適切に指摘した通りです。寮側は直ちに執行異議申し立てを行いました。

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「明渡し」仮処分へ


 寮側の執行異議申し立ては、異議申し立てとしては異例の3ヵ月という長期間、裁判所で審議されました。学部当局がそれまで熱殺してきた寮自治会を裁判所に認定させる成果もありましたが、結果的には斥けられる形となりました。
 異議申し立てが決着すると、学部当局は即座に「明渡し」仮処分を申し立てます。学生の結束した反対を恐れて、学生のまばらな春休みを狙ったのです。裁判所に提出された膨大な学部当局の「疎明資料」は、あからさまに学生自治を否定し、学部当局の管理権のみを強調する、虚偽と欺瞞に塗り固められた内容でした。「キャンパスプラザ」建設が、緊急に「廃寮」すべき理由とされましたが、これは逆に「キャンパスプラザ」が「廃寮」の道具に過ぎないことを改めて明らかにしました。学生を裁判に訴え、叩き出してまで建設を強行するという、学生のための施設「キャンパスプラザ」とは一体何なのか。逆に言えば、学生のためと称して、学生を裁判にかけて強行しようとする駒場寮「廃寮」とは一体何なのか。この単純かつ本質的な問いは、しかし裁判官の頭の片隅にすら生じることはありませんでした。法律の条文に照らして判断することだけが彼らの仕事だからです。
 裁判所での審尋は、常に寮側有利で展開しました。学部当局・国側の主張が、虚偽と欺瞞であることが寮側弁護士の追及や我々の陳述書で次々と明るみに出たからです。学部当局と国の足並みも乱れました。その結果、彼らは三棟同時明け渡しを断念しました。ウソも百遍つけばという教養学部当局の低水準は裁判所には通用しなかったのです。しかし、明寮についでは、許し難いことに明け渡し決定が下され、第一次、第二次強制執行が行われ、文字通り寮生を引きずり出して寮を破壊するという未曾有の事態になったのです。

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「法的措置」の問題


 「法的措置」は多くの問題性を孕んでいます。詳解は寮委員会発行の『駒場寮問題「法的措置」関連報告集」に譲るとして、ここでは二点だけ指摘したいと思います。まず、「法的措置」の犯罪性を特徴付けるのは、当事者間での真摯な対話による解決への可能性を潰してしまうということです。「決着がつかないなら第三者の判断に委ねればよい」という意見は寮問題を完全に捉え間違えています。「第三者の判断に委ねる」ことが妥当性を持つのは、両者が最低限それに合意した場合に於いてのみです。寮自治会は一貫して「法的措置」に反対し、話し合いによって解決すべきことを主張してきました。話し合いはやめだ!と言わんばかりに学部当局が突き付けたのが「法的措置」なのです。「話し合いは学部当局も主張している」との意見もあります。しかし学部当局がどんな交渉を行ってきたのか、そして何より学部当局が「法的措置」に突入したという事実を、はっきりと認識せねばなりません。
 次に、「法的措置」は学生自治を潰すということです。学生自治は、大学自治を支える上で欠くべからざるものとして、学生の自主的活動を通じて培われてきました。しかし学生自治には法律的な裏付けがある訳ではありません。従って、学生自治に関わる問題を裁判所に持ち込んでも、大学当局に軍配が上がるのは当然です。これは駒場寮だけの問題ではありません。学生自治の問題と不可分な「廃寮」問題をあくまで「法的措置」で決着させようとすれば、裁判所による学生自治への法律的否定に行き着かざるを得ないのです。
 我々は、駒場寮の所有権が法律的に国にあることを否定しようとしているのではありません。寮建物が誰の所有か、などといった矮小な議論をするのは学部当局です。我々が問うているのは、寮という制度、そこで学生の手で創り上げられる自治、それは誰の(ための)ものかということです。裁判所の「お墨付き」で学生自治に死刑宣告しようとする学部当局の「法的措置」路線は、学生自身の手によって、阻止されねばならないのです。

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暴挙を上塗りした強制執行


 3月25日、東京地裁は明寮についての明け渡し決定を出しました。我々は、この決定を不服としながらも、裁判所によって明け渡し対象者とされた寮生については、自発的に明け渡すことにして、3月28日に執行官や国側代理人に通告しました。ところが、彼らはその翌日、事前連絡もないまま(弁護士にすら!)大量のガードマン・作業員及び教職員を引き連れてやってきたのです。寮生が柔軟な態度であろうがなかろうがお構いなく、彼らは暴力的に叩き出すことしか考えていなかったのです。ものものしい雰囲気は、が−ドマンの大量動員で彼らがデッチ上げたもの以外の何物でもありません。
 これは寮生のみならず、学生に対する重大な恫喝行為です。学部当局に反対する学生の末路はこうだ!と言わんばかりに、彼らはその野蛮性を見せつけてきたのです。学生自治会は「何でも言える大学」をキャッチフレーズにしていますが、学部当局は「何でも言ってるとヤバイ大学」にしようとしているのです。これは、当事者間で解決すべき学内問題を裁判所に持ち込んだ時点で、不可避となった問題性です。
 またこれは、「廃寮」の不当性からの必然的帰結でもあります。寮生が自発的に明け渡すことなど、彼らにとって考えられなかったのではなく、彼らにとってあってはならなかったのです。彼らにとって、寮生はエゴイスティックで悪質な暴力学生として全学にイメージされる存在でなければなりません。寮生がそのようなイメージで見られること抜きに、不当な「廃寮」計画を強行したり、まして裁判という前代未聞の手段で学生を弾圧するための大義名分はあり得ないからです。だからこそ学部当局にとってみれば、寮生が裁判所決定に従って出て行くなど、悪役を全うしていないということでしかないのです。任意の明け渡しを通告したまさに翌日に、抜き打ち強制執行が行われたことはその証拠です。
 強制執行の問題性は大量動員だけではありません。明寮に部屋を持っていた「非債務者」(裁判所決定で明け渡し対象者とされていない寮生・サークル)もドサクサに紛れて叩き出したのです。何とその数は「債務者」(明け渡し対象者)部屋より多いものでした。これら「非債務者」は強制執行当日の現場で突然、「債務者」と見倣され、叩き出しが正当化されたのです。裁判所決定など、単に強制執行するための体裁を整えるためだけのものに過ぎないことがお分かり頂けると思います。

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ガードマン費用はどこから?


 学部当局による駒場寮への「廃寮」攻撃とは別の観点から、見過ごせない問題があります。強制執行やその後の「警備」のために雇われているガードマンの費用問題です。こんなものは当然ながら「キャンパスプラザ」建設予算には含まれていません。
 学部当局が交渉で述べたところによれば、これは東大各学部からの拠出金で賄われているとのことです。要するに、文部省からの特別な予算からではなく、各学部の貯金から支払われているのです。この金は、本来ならば教育・研究のために使われるべきものです。
 ガードマン費用の総額は明らかではありませんが、ガードマンの日給と人数から計算して、既に1億円を越えていると概算出来ます。合意形成を怠り、かつその努力もなされていないために、膨大な金額を「廃寮」強行につぎ込むことが現在も進行しているのです。
 学部当局は「産みの苦しみ」という言葉を使います。しかし「廃寮」を強行した後に生み出すものが何なのか、そもそも生み出し得るのか、誰も知りません。これは「殺しの代償」と呼ぶほかありません。学部当局の一存で無駄金を浪費することは許されません。

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駒場寮問題の本質的解決に向けて


 「廃寮」計画の不当性について、長々と考察してきました。ここでまとめてみましょう。大きくは二点に分けることが出来ると思います。

[1]当事者不在の決定であること

 91年10月9日の臨時教授会で抜き打ち的に「廃寮」が決定されたことは揺るぎない事実です。その後一貫して学生の反対を無視してきたことも、合意形成がなされていないという点で、ここに大別することが出来るでしょう。

[2]学生自治への攻撃であること

 当事者不在は「廃寮」問題で言えば、学生不在ですから、学生自治への攻撃といえますが、むしろ、学生自治にとって重要な役割を果たしてきた駒場寮が攻撃の標的とされたことが問題です。駒場寮「跡地」計画=「CCCL計画」が学生自治の文脈から切り離され、ことさらに学部当局と学生との「対話と協調」(=説明と追従)が喧伝されていることは、逆に駒場寮「廃寮」が学生自治潰しであることを物語っています。

 [1]と[2]の問題性を同時に解決するためには、誠実な交渉による他ないと考えます。そのためには、学生に対する学部当局の一方的押し付けの構図を清算せねばなりません。それには「廃寮」に反対する学生側の結束が不可欠です。皆さん、共に駒場寮存続に向けて闘いましょう。


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