蝿



なあ、蝿よ
今、おれの手は
何も考えずにお前の夏の歓びを
吹き払っちまったが、

おれはおまえのような
蝿なのではなかろうか?
おまえはおれのような
人間なのではなかろうか?

おれが歌って踊って
酒を飲んでいられるのも、
目の見えない何者かの手が
おれの羽を引っこ抜くまでのことさ。

思考が生命で
息で強さなのだとすれば、
思考が足りないのは
死んでるってことなら、

それじゃおれは
幸せな蝿になろう。
生きているなら、
死んじまうなら。





|ホームページ||詩|
|目次||前頁(病める薔薇)||次頁(天使)|
エキスパンドブック版
PDFPDF版
mail: nyagao@longtail.co.jp