分水嶺



あれ以来、 私は「歩いているだけで骨折する危険のある人」 になってしまったわけです。 今はまだ 歩くだけで肩が痛むので、 ふらふら出歩きたいとは思いませんが、 もうあれ以前のように、 何も考えずに 外に行きたいから行く、 というわけにはいきません。 最低限、怪我をしないように 注意をしなければなりません。 まして、怪我が治るまでは、 転んだときに身体を守れる手が 一本しかないのです。 面倒なことになったものです。 あれ以来、 生きる条件が変わってしまったのです。 一個人でさえそうなんですから、 壊れるはずがないとされていた 「あれ」 あそこのは使わないことがようやく決まりましたけど、 あそこのものではないからと言って、 「あれ」 をもう一度動かすなんて、 普通は考えられないと思うんですけどね。


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