これ
はゆうがたのスープ皿である 湧いてはあふれだすつめ
たい火がある みえない翼がとびだす草はらをうつして
いる そそがれるゲル状になったカリフラワースープで
ある
かえりみちはだんだん短くなって最後はゆきどまり
暦はまっしろ 足はもえる 腰は湿る よどんでいる魔
の胞子のためにテーブルクロスをひろげる 皿のなかで
煮たった波をふかくしずめる影のむかいに椅子を配置す
る 弾んでいる眼のためにいろいろの皿をならべる そ
して わすれられた彩色のためにナイフとフォークをと
りだす こぼれる水をうけとめることができるだろう
星につきだした 材料のまんなかに蓋がある まどべに
おどる皮膚は髪がはいった錆とおなじものである
あなた
ののみものは うすあかりがひやしている静止をのみこ
んで おもいがけない酔いはみどりいろの空にとけてし
まった 睡気の谷はひきのばされる デザートは毛ばだ
つしろさのうえにある さびしいオリーブ油がとぶドラ
ムをきかせる 双眼鏡は無限にうまれているようだ こ
まかく砕いたコルクのような 孤独のモザイクをこおら
せる駅がある
いまからみえるのは音をはこぶみち パー
ティのはじめとおわりがいれかわる あおい衣裳がまっ
ている くもりなく明日の角度をさししめす 耳 まわ
りから軽くなってくる さらに軽くなって小脳につるさ
れる物質ができる あかりにかえて虹のつくる結晶があ
る 閨房ととびらをむすぶ棘の料理人 まいにちきまっ
た献立はありません いらだちをさらすためにスプーン
をふせる回析格子がおりだす声 しらずしらず性の動脈
がうごいたりとまったり こんやは硬質ガラスをつきぬ
ける ふりだしにもどるかたおもいの半熟卵をのみほす
すきとおったステンレス製の乳暈 あたらしい引力の強
弱に意味のながれはとまる 鉱物の時間へ いろあせて
ゆく向日葵がある
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