清水鱗造
電車の窓から見える 塀の猫 重くなって それから背に乗って 暗く駅を降りていく それから 軽い一日になる 砂袋には小さな穴がある (ささやくから) 踏み台に上がり 千枚通しを使い 紙縒りを挿し込む 写真帳 つまり 測れないまだら色が 手のひらに貫いている