清水鱗造
交合の図をスケルトンにしてみれば やわらかくなった煮魚の骨を 二枚重ねて あとは頑丈な骨盤を二枚重ねて そして頭蓋だ あの人は貧しくなっていた それもこれも 頭蓋がなした業績だよ 枝垂れ梅は実生でしか枝垂れないらしい あの頭蓋が また複数の頭蓋が 海の習俗にのっとって 文字を流してくれた 縫合線のある頭蓋がね 交合の図を骨にして透視してみれば 陰茎も膣も映らない ただ半開きになった顎骨が二つ カチカチ鳴り 歯に詰めた金属が黒く見えるだけ 庭にはイヌノフグリが 可愛く咲いているというのに