August 0882016

 被爆後の広島駅の闇に降りる

                           清水哲男

「増殖する俳句歳時記」は当初の予定通りに、20年が経過したので、本日をもって終了します。最後を飾るという意味では、明るくない自句で申し訳ないような気分でもありますが、他方ではこの20年の自分の心境はこんなところに落ち着くのかなと、納得はしています。戦後半年を経た夜の広島駅を列車で通ったときの記憶では、なんという深い闇のありようだろうと、いまでも思い出すたびに一種の戦慄を覚えることがあります。あの深い闇の中を歩いてきたのだと、民主主義の子供世代にあたる我が身を振り返り、歴史に翻弄される人間という存在に思いを深くしてきた人生だったような気もしております。みなさまの長い間のご愛読に感謝するとともに、この間ページを支えつづけてくれた友人諸兄姉の厚い友情にお礼を申し上げます。ありがとうございました。(清水哲男)




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