June 3062016

 カタバミは山崎自転車屋のおやじ

                           芳野ヒロユキ

タバミはピンクや黄色の小さな花をつけてクローバーのような葉っぱを茂らせている。路地やちょっとした茂みにおなじみの花だけど名前を知ったのは俳句を始めてからだった。ありふれているからと見過ごしているものがどれほど多い日常か。それにしてもカタバミは山崎自転車屋のおやじ、って断定がすごい。その断定がそのまま俳句になっているのもびっくりだ。まったく結びつかないようでいて一度呟いてみると忘れられないインパクトで記憶に刻み込まれてしまう。店先でパンク修理をしている頑固そうなオヤジさんが映像として浮かび上がってくるからだろうか。そうかゴツイオヤジなのにカタバミだったのか。『ペンギンと桜』(2016)所収。(三宅やよい)




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