May 1352016

 鷭飛びて利根ここらより大河めく

                           菅 裸馬

(バン)の体長はハトくらいの大きさ。腋と下尾の白斑が目立つ。全国の池、湖沼、水田、湿地等で繁殖する。草の中や水辺を歩いたり水を泳いで餌を漁る。尾を高く上げクルルクルルとよく鳴きながら泳ぎ、水面を足で蹴って助走してから飛び立つ。この草の中でクルルクルルと鳴く声は「鷭の笑い」と言われてきた。五月から七月にかけて、水草や稲株の間の水中に枯草を重ね皿形の巣をつくり五ないし十個の卵を産む。利根は水源から渓流、清流、肥沃な中流を経て大河の様相となり太平洋へと注がれてゆく。ススキ生い茂る岸辺に鷭がクルルクルルと鳴く声を聞けば利根はさすがに大河の様相を成している。『合本・俳句歳時記三十版』(1990・角川書店)所載。(藤嶋 務)




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