April 262016
お日さまが見たくて蝌蚪の浮き沈む
関口恭代
蝌蚪(かと)とはおたまじゃくしのこと。水底で孵ったおたまじゃくしは、つぎつぎと水面へと上昇する。それはきっとお日さまが見たいからだという掲句。おたまじゃくしの姿かたちも相まって、なんとも愛らしい景色となった。おたまじゃくしの呼吸はエラだけだと思われていたが、先年、皮膚と肺も使っていることが研究によって実証された。どのような環境でも生き延びることができるような進化の不思議が蛙の世界にも導入されていたのである。一匹の蛙が生む卵は約千個だが、そのうち蛙まで成長できるのはわずか2割。さらにその後、産卵できるまで育つのは数匹という。どのような工夫をこらしても、おたまじゃくしが生きながらえることは非常に厳しい。『冬帽子』(2016)所収。(土肥あき子)
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