April 1542016

 よく遊ぶ目白やわが影置き忘れ

                           谷中隆子

の周りが白い輪っかになっているので目白。体は鶯色を少し明るくした感じの緑色である。留鳥で市街地でも普通に見かける。雀より心持小さ目な体でちょこまかと枝から枝へ遊んでいる。今いたと思うとそこにはもう居ない。いないのだが移動が速いので残像だけが残されている。よくこう夢中で遊べるなと感心する、とともにふと自分がこれほど夢中に遊べたのは最後はいつだったかと遠い目になる。この目白のように影諸共に自分を忘れて遊んでみたいものだとも思う。もう一度一心不乱遊べるようになれるだろうか、なりたいがなれそうもない。その他<梅を見に爆弾おにぎりひとつ持ち><桃の昼空の無辺をふと怖る><貝の殻壜に眠らす春嵐>などなど。「俳壇」(2013年5月号)所載。(藤嶋 務)




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