February 1922016

 頬白や人肌ほどに池ひかる

                           雨宮抱星

白(ホオジロ)は一年中見かける鳥であるがその囀りが面白くこれに主眼をおいてここでは春に扱う。スズメよりちょっと大きく栗褐色で、眼の上の二条の白線が特徴である。子育て時には外敵から目を背ける為、自らの擬傷行動で巣を守ったりする。その囀りであるが「一筆啓上つかまつり候」とか「源平つつじ白つつじ」とか聞きなされているのが知られている。実際はチョッチーピーツツチョピーツクとただの鳥の啼き声である。しかし一度人の言葉で聞きなしてしまうと何故か、一筆啓上とか源平つつじとかに聞こえてしまうから不思議なものである。こんな囀りを聴きながら池の畔に立ってみるときらきら光る水面もなんとも柔らかい人肌ほどの光りに見えてしまうのである。『新版・俳句歳時記』(2001・雄山閣)所載。(藤嶋 務)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます