December 22122015

 冬至といふ底抜けに明るい日

                           能村登四郎

至とは一年のなかで太陽が最も南に寄るため、北半球では昼が一番短い日となる。偉大な太陽の力が脆弱となるため、さまざまな国で厄よけや滋養に力を尽くす風習が残る。日本でも江戸の銭湯が考案したという柚子湯や、長期保存が可能な南瓜や小豆を食べて風邪をひかないように工夫した。しかし、昼が短いとはいえ、この時期は冬型の気圧配置となり、太平洋側ではよく晴れる日が多い。澄んだ冬の空気が万象の輪郭を際立たせる様子を華美な表現を用いず、「底抜け」と直截に言い切ったことで、いっそう明朗な景色が描かれた。『幻山水』(1972)所収。(土肥あき子)




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