December 182015
覆面に眼のあるきんくろはじろかな
藤田直子
きんくろはじろは漢字表記すれば金黒羽白。金は目、黒は背中、白は腹部の色。飛翔中にも翼帯に白が見える。顔から背中が黒くその中に金色の目が覆面から覗いているようで印象的である。作者はそんな容姿そのものの可愛さに感動している。おもに冬鳥として渡来し、湖沼、池、広い川、入り江などに群れで生活する。水面を泳ぎ、水に潜って水中の草や水底の貝を食べる。水をけって助走してから飛び立ち、はばたきは速い。公園のすこし大きな池などで身近に眺めることが出来る鴨である。他に<詩(うた)のため何捨つべしや葛の花><われの血の重さに蛭の離れたる><廃炉へと働く人や冬銀河>などがある。「俳壇」(2015年1月号)所載。(藤嶋 務)
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