December 15122015

 うつぷんをはらして裸木となれり

                           岬 雪夫

憤(うっぷん)とは、表面には出さず心の中に積もり重なった怒りや恨み。作者は裸木を見上げ、覆われていた木の葉をふるい落としてせいせいとした風情であると見る。固定観念として裸木に込められた孤高や孤独のイメージは崩れさり、一転木の葉や花が樹木にとってあれこれ気を使わねばならなかった要因のように思われる。裸木の裸とは、寒さに震えるものではなく、また生まれ直す原点に戻ることなのだ。裸一貫で風のなかに立つ木のなんと雄々しく清々しいことだろう。『謹白』(2013)所収。(土肥あき子)




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