November 27112015

 城近き茶店の池の浮寝鳥

                           同前悠久子

光や散歩で人々が訪れる名所旧跡に茶店はつきものである。そしてお堀とか池とか噴水など水が風景を飾る。その水の風景のアクセントとなって様々な鳥たちが人々の目を楽しませている。どんな鳥か暫く観察する。白鳥、鴨、鳰、鴛鴦などを発見。秋に渡って来てここで越冬し春には帰っていくものもいれば、ここに居着いた鳥も居る。水に潜ったり翼に嘴をさし入れたり様々な姿態で点在している。水上に浮かんで寝ているものが居る、浮き寝鳥という。鴨ならば浮き寝鴨とでもいうところ。一杯の珈琲の寛ぎタイムも流れさって、人間はそれぞれの持ち場に帰ってゆく。鳥たちはのんびりと眠り続ける。他に<花枇杷を待つ日々は佳し恋に似て><足元にかすかに揺るる黄千両><玉子酒ふと作りたしひとり居の>などあり。俳誌「ににん」(2015年冬号)所載。(藤嶋 務)




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