November 16112015

 大学祭テントに落葉降りつもる

                           池田順子

の通った大学では「11月祭」といって、学園祭は毎年恒例で秋に開かれていた。まさに落葉の季節である。それなりににぎわうのだが、日暮れ近くともなると、そぞろ冷たい風も吹いてきて、どこか物悲しく、しかしそれはそれで捨てがたい味わいがあった。テントに降り積もる落葉もそのひとつだ。私が入学したころの学園祭の総合テーマは「平和と民主主義、よりよき学園生活のために」という当時の全学連のスローガンをそのまま流用したもので、これはほとんどの大学に共通していた。ところが二回生のときだったか、「これではつまらん」と上級生が言い出して、まことにもって唖然とするようなスローガンを打ち出した。曰く「独占資本主義下におけるサディズムとマゾヒズム」というのである。何のことかさっぱりわからなかったが、さすがに「大学であるな」とこれが妙に気に入ってしまった。以後、いろいろな大学から独自のテーマが生まれてきて今日に至るというわけだ。『彩・円虹例句集』(2008)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます