October 16 2015
鵙日和医師も患者も老いにけり
滝本香世
医は仁術なりと聞いたが人間の信頼関係が凝縮されている。患者から見れば吾が命を託す神様みたいなものである。そう信頼されると医師もまた誠を尽そうと本気を出して事に当たる。場合によっては自分のプライドを捨てて他の専門医をあれやこれと紹介したりもする。こうして二人の付き合いも永くなって診察合間の談話も親しいものとなってゆく。他愛も無いやりとりに医師は顔色診察をしている。鵙のつんざく様な高鳴きが聞こえた。おだやかな秋の一日、良い鵙日和ですなあと言葉を締めくくり、事も無く今日が過ぎてゆく。人は共に老いてゆく。願わくば穏やかに老いたいものである。因みに句の作者も連れ合い様共々に医師と聞いている。<看護師に子の迎へあり春休み><日向ぼこり女盛りの過ぎにけり><天国に予約をふたり小鳥来る>など収容あり。『待合室』(2015)所収。(藤嶋 務)
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