October 09102015

 色鳥やおざぶごと母ひつぱつて

                           山本あかね

になると色々な小鳥が渡って来る。庭木も疎らになって枝々の輪郭が露わである。あら今日はこんな鳥が庭先にと、出入りする様々に色付いた小鳥たちの観察も楽しい。こんな小鳥たちが色鳥と言はれる。居間には何時もの様に母がお茶を飲んでいる。近頃は置物の様にちゃぶ台の指定席には母が鎮座している。あら、尉鶲かしら、もうちょっと縁に寄れば母にも見える。つと衝動的に見せたい!と座布団ごと母を縁側に引きずった。背負わずとも母は軽かった。秋の空は底なしに青く明るい。他にも<たくあんをこまかくきざみ大文字><年忘いづれはみんな死ぬる顔><いもうとに薄荷パイプの赤を買ふ>と鋭く日常を切り取る。『あかね』(1995)所収。(藤嶋 務)




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