July 3072015

 草取りの後ろに草の生えてをり

                           村上喜代子

始めは柔らかかった草も夏の日にさらされ、雨に打たれどんどんふてぶてしくなってゆく。地面からはとめどなく草が噴出してきて、放っておけばたちまち家の周りが雑草だらけになる。田舎の家で草取りをすると、玄関で草取りをして裏まで回って、また玄関を見れば取り残した草だけでなく、もう新しい草が生え始めている。まったく草取りは果てしない作業に思える。夏の盛りに田んぼに草取りをする人をあまり見かけなくなったのは農薬が飛躍的に進歩したせいかもしれないが、そう除草剤に頼るわけにはいかないだろう。田舎にも久しく帰らず、草取りも何十年もしたことがないが田舎の家や墓所を維持するのは並大抵なことではないと掲句に出会ってつくづく思った。『村上喜代子句集』(2015)所収。(三宅やよい)




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