May 2652015

 日傘差す人を大人と呼ぶ人も

                           杉田菜穂

焼けが大敵だと思うようになってからずいぶん経つが、たしかに20代前半は無防備に日に焼け、それほど後悔することもなかった。身軽が一番な年頃では雨も降っていないのに傘を差すなど、到底考えられないことだった。日傘は手がふさがるし、閉じたら閉じたで荷物になる。しかしその負担をおしてでも、年々歳々太陽光線は忌み嫌われ、しみしわ老化へ拍車をかける悪の根源として断固拒絶の意志をかためていく。大人とは衰えを自覚する人々のことなのだ。紫外線のUVAは5月がもっとも多いとされる。大人にとって油断大敵の今日この頃である。『関西俳句なう』(2015)所載。(土肥あき子)




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