February 2822015

 さらさらと舟のゆきかふ二月尽

                           高橋雅世

の前にある二月のカレンダー、一から二十八までの数字がきちっと長方形に並んでいる。たった二日か三日の差であるにもかかわらず二月があっという間に逃げてしまうのは、年度末に向かう慌ただしさと日々変わる天気や気温のせいだろうか。掲出句の、さらさら、にはそんな春浅い風と光が感じられる。小舟がゆっくりと行き交っているのは湖か。本当の春が近いことを告げる穏やかな日差しが、ああ二月も終わるなあ、と遠いまなざしで水辺に立つ作者に静かに降りそそいでいる。他に<椿より小さき鳥の来てをりぬ ><凧揚げの少年に草ながれけり>。『月光の街』(2014)所収。(今井肖子)




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