January 2912015

 風信子ゆっくり響く長女です

                           室田洋子

仙やヒヤシンスはいちはやく春を告げる花のように思う。水栽培にして部屋の中で育てることが昔流行っていたが、名前の響きからどこか寂しげでひんやりとしたたたずまいを感じさせる花だ。「ゆっくり響く」という形容は徐々に小花が開花するヒヤシンスの咲き方とともに、常に下の弟や妹たちに目配りをしながら生活をしている長女の在り方を表しているようでもある、この頃は子供たちの人数も少なくて生まれた順による性格付けは意味を持たなくなっているかもしれないが、おっとり長女長男と調整のうまい真ん中、要領のいい末っ子という大人数での兄弟のポジショニングを久方ぶりに思い出した。『まひるの食卓』(2009)所収。(三宅やよい)




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