January 0912015

 御降の沁みとほりたる漁網かな

                           高階和音

降り(おさがり)は元日から三が日に降る雨や雪のこと。正月のお天気は晴れても降ってもめでたい。きっと今年も豊年満作、漁も大漁だろうと縁起よい夢を占う。初漁に備えて繕はれた漁網が広げられている。網の目に沁みとおるほどの小糠雨だろうか降注いでいる。細やかに明るく光る雨粒を眺めながら、今年もきっと健やかな年になることを切に期するのである。他に<傀儡師潮に濡れたるものを履き><漁小屋に歯固めの餅焦げにけり><御降の雪浮玉を隠しけり>などあり。俳誌「斧」(2005年3月号)所載。(藤嶋 務)




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