December 19122014

 うつくしき骨軋ませて雪は降る

                           月野ぽぽな

を歩くときゅっきゅっと靴が鳴り、静かに降りしきる雪が重たく積ってその幹や枝を軋ませている。これをうつくしい骨が軋んでいると観る感性がある。このシューリアリズムの表現を敢てこの世の景観に変換する必要もなかろう。ここにあるのはただ軋む骨、降る雪、白い美しさ、それ以上のものでない方がよい。他に<これはまだ幼い鎌鼬だろう><冬霧の膝を崩して夜の底へ><陽のままでいる綿虫に出会うまで>などあり。「俳句」(2012年1月号)所載。(藤嶋 務)




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