November 24112014

 国会中継延々葱買いに行かねば

                           きむらけんじ

会中継はよく見るほうだと思う。だが最近は、たとえば往年の共産党・正森成二のような舌鋒鋭い突っ込みの名人がいないので、あまり面白くない。句の「延々」は、そのことを言っている。かといって気になるやりとりも少しは出てくるので、スイッチを切るに切れないというところか。葱を買いに行かねばならぬという目前の用事のことがちらちら頭をかすめるが、なかなか席を立てないもどかしさ。天下の大事と日常生活の小事とが、同じくらいの重さで行き交う面白さ。しかし、議員センセイなどには到底わからぬであろうこの種の庶民感覚が、本当は政治的にも大切なはずである。国会の「延々」には、この感覚の差異がいつまでも平行してクロスしないもどかしさも、含まれているのだろう。自由律句だけれど、本サイトではいちおう冬の季語の「葱」に分類しておく。『圧倒的自由律 地平線まで三日半』(2014)所収。(清水哲男)




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